士業ねっと! マイナンバー対応、助成金・補助金などの資金調達の各種相談、各種顧問料の見直しなどもどうぞお気軽に!

士業ねっと! 全国版

東証スタンダード「株式会社フォーバル」のグループ会社が運営しています。

掲載希望の士業者様はこちら

士業ねっと!全国版

士業者検索

BLOG

中野人事法務事務所中野 泰(なかの やすし)

ブログ記事一覧

会社は、なぜ配置転換や転勤を命じることができるのですか?

会社が配置転換や転勤を会社が命じることの法的な根拠ってどこにあるのでしょうか?

そもそも、配置転換とは労働の種類が変わることであり、
転勤とは勤務場所が変わることです。

労働の種類については、
従事すべき職務の範囲(業務内容)もしくは職種(仕事の種類)は
労働契約の内容の一部を構成しており、
その変更は労働条件に影響を及ぼすことから、
法的根拠が必要です。
(昭和48年9月11日 大阪地裁判決 日本触媒化学工場事件等)

勤務場所については、
従業員の生活にも大きく影響を与えることから、
賃金や労働時間などとともに重要な労働条件に当たり、
労働契約の要素の一つであると位置づけられています。
(昭和44年7月10日 大阪地裁判決 日本生命事件等)

以上により、配置転換による労働の種類の変更、
転勤による勤務場所の変更ともに、
労働契約の要素であることから、
労働契約上の根拠が必要とされています。

一般には、労働契約というものは、
従業員が提供する労働力をどのように活用するかについて、
包括的に会社に委ねることを内容とするものであり、
個々の具体的労働を直接約束するものではありません。

会社は、従業員が行うべき労働の種類、態様、勤務場所等について
決定する権限を持っています。
したがって、会社が業務上の必要から従業員に転勤や配置転換を命ずることは、
原則として問題ないとされています。
(昭和42年7月21日 熊本地裁八代支部判決 三楽オーシャン事件、日本生命事件等)

本来ならば、個々の契約において
「会社は従業員に転勤を命じ、従業員はこれに応じなければならない」
とする旨を就業規則等で定めることが必要です。

昭和50年5月7日の日本コロムビア事件(東京地裁判決)の判決でも
就業規則に「業務上の都合で転勤、配置転換を命ずることがある」旨の規定があれば
会社が従業員に転勤や配置転換を命ずる権限を持つことを
より強く主張できると判示しています。

それでは、こうした就業規則上の明示がない場合はどうなるでしょうか?

黙示的、包括的にこのような権限が付与されていると考えられる場合であれば、
従業員は就業規則上の明示がないことを理由に
配置転換や転勤を拒否することはできないとされています。

ただ、裁判ともなれば「黙示的、包括的に権限が付与されていた」ことを
証明する必要が生じます。

このような面倒なことになるくらいなら、
就業規則を作成し、労働契約上の明確な根拠とした方がよいでしょう。

なお、職種限定採用、勤務地限定採用であることを明確にして採用した場合は、
会社が一方的に配置転換や転勤命令を下すことはできず、
双方の合意が必要です。
(昭和43年4月24日 東京高裁判決 日野自動車事件)

□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■■□□□□□□□■■■■■■■□□
こちらのサイトもご覧ください!
★ 就業規則作成相談室
★ 中野人事法務事務所
★ 中野人事法務事務所FACEBOOK
□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■■□□□□□□□■■■■■■■□□

会社は、なぜ配置転換や転勤を命じることができるのですか?の続きを読む ≫

採用時に労働条件を適正に明示していますか?

採用する際に、主要な労働条件について書面に記載し、採用された人に渡す必要があります。
相手が正社員でもアルバイトでも同じです。

書面に記載する最低限の事項については
労働基準法やパートタイム労働法などで決まっています。

結論的に申し上げると、今まで口頭で済ませていた会社や、書面の内容に自信のない会社は
こちらのサイトにある「労働条件通知書」を使ってください。

ポイントとしては下記の通りです。

☆有期雇用契約の場合

 1 更新の有無について記載すること
 2 更新の基準を明記すること

☆パートタイマーの場合
 
 1 昇給の有無、賞与の有無、 退職金の有無について明示すること

パートタイマーですら、昇給・賞与・退職金の有無について明示するよう言われておりますので、
正社員などについてもこれらの有無について明示しておくことをお勧めします。

□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■■□□□□□□□■■■■■■■□□
こちらのサイトもご覧ください!
★ 就業規則作成相談室
★ 中野人事法務事務所
★ 中野人事法務事務所FACEBOOK
□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■■□□□□□□□■■■■■■■□□

採用時に労働条件を適正に明示していますか?の続きを読む ≫

解雇の前に退職勧奨を!

従業員を解雇したい、と経営者の方からご相談をいただくことがあります。

私の場合は、解雇をするとなると本人のプライドは決定的に傷つくことが多く、
ご本人から不当解雇だなどと主張されて、後でもめることも多いことから、
まずは退職勧奨を打診してみてはどうか、とご提案することが多いです。

退職勧奨とは「退職してはどうか?」と本人に勧めることです。

こうした会社からの提案を受諾するかどうかは本人次第ですから、
本人の意思に関わらず、会社側のみの意思で行う解雇とは異なります。

退職勧奨であっても、ハローワークに行けば会社都合としての扱いになりますので、
解雇と同様、3か月間の支給制限期間なく、
7日間の待機期間の後、すぐに受給対象期間となります。

また、ご本人の意向や場合にもよりますが、
ご本人の再就職先などについても配慮してあげる等すると、
さらに交渉がスムーズです。

解雇や退職勧奨をするくらいですから、
経営者としてもいろいろ本人に言いたい気持ちがあることが多いのですが、
そこは大人になっていただき、
本人の怒りや憤りの感情に極力スイッチが入らないような発言、態度で
面談に臨んでください、とアドバイスをしています。

ご本人が弁護士に依頼したり、
労働組合に加入したりする等、深刻なトラブルになってしまうと、
かかる労力や時間(場合によっては金銭)が何倍にも膨れ上がります。

深刻なトラブルに発展しないよう、会社側としても本人の言い分も真摯に聴き、
対応できることは対応した上で、ご本人にも退職の道を選んでいただいた方が
お互いにとって前向きな人生を歩みやすくなります。

□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■■□□□□□□□■■■■■■■□□
こちらのサイトもご覧ください!
★ 就業規則作成相談室
★ 中野人事法務事務所
★ 中野人事法務事務所FACEBOOK
□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■■□□□□□□□■■■■■■■□□

解雇の前に退職勧奨を!の続きを読む ≫

有期雇用契約の場合、契約期間の限度はありますか?

有期雇用契約を締結する場合、契約期間の下限はありません。
「1日」でもいいし、1日の中の数時間でも構いません。

一方、上限については不当に従業員を拘束することを避けるため、
一定の上限が設定されています。
これには原則と特例が3種類あります。

ざっくり言えば、原則は3年間。
特例としては次の通りです。
①○○士、博士の学位を持っている人等の
 高度専門性を持っている人とされている人が、
 その専門性を活かした仕事をする場合は5年間。
②60歳以上の人との雇用契約は5年間。
③有期の建設工事で雇用する場合は、その工事の期間

以下、詳細です。

<原則>

3年間です。

ただし、有期雇用契約(特例3 に定めたものを除き、その期間が一年を超えるものに限ります。)を
締結した従業員(下記特例1又は2に該当する労働者は除きます。)は、
雇用契約の期間の初日から 1 年を経過した日以後であれば、
会社に申し出ることにより、 いつでも退職することができます。

この原則に対して、特例が3種類あります。

<特例1>

高度の専門的知識等を有する従業員との間に締結される雇用契約⇒上限5年
(※)当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限ります。

高度の専門的知識等を有する従業員とは、次の①から⑦のいずれかに該当する従業員です。
① 博士の学位を有する者
② 公認会計士、医師、歯科医師、獣医師、弁護士、一級建築士、税理士、
   薬剤師、社会保険労務士、不動産鑑定士、技術士又は弁理士
③ システムアナリスト、アクチュアリーの資格試験に合格している者
④ 特許発明の発明者、登録意匠の創作者、登録品種の育成者
⑤ 大学卒で 5 年、短大・高専卒で 6 年、高卒で 7 年以上の実務経験を有する
   農林水産業・鉱工業・機械・電気・建築・土木の技術者、システムエンジニア
   又はデザイナーで、年収が 1,075 万円以上の者
⑥ システムエンジニアとしての実務経験5年以上を有するシステムコンサルタントで、
   年収が 1,075 万円以上の者
⑦ 国等によって知識等が優れたものであると認定され、上記①から⑥までに掲げる者に
   準ずるものとして厚生労働省労働基準局長が認める者

<特例2>

満 60 歳以上の従業員との間に締結される雇用契約⇒上限5年

<特例3>

一定の事業の完了に必要な期間を定める雇用契約(有期の建設工事等)⇒その期間

通常、よく見られるパターンとしては、6か月もしくは1年間の有期雇用契約です。

なお、労働契約法上、有期労働契約によって従業員を雇い入れる目的に照らして、
契約期間を必要以上に細切れにしないよう配慮することとなっています。(第17条第2項)

□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■■□□□□□□□■■■■■■■□□
こちらのサイトもご覧ください!
★ 就業規則作成相談室
★ 中野人事法務事務所
★ 中野人事法務事務所FACEBOOK
□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■■□□□□□□□■■■■■■■□□

有期雇用契約の場合、契約期間の限度はありますか?の続きを読む ≫

委任契約と雇用契約の違いって何ですか?

会社に対して個人が貢献する契約のあり方として、
委任契約というものがあります。

委任契約とは、当事者の一方が、相手に対して法律行為を委託して、
相手が、委託されたことを承諾することで成立する契約です。
ちなみに、法律行為以外のことを委託して、
相手が、それを承諾することで成立する契約もあります。
これを準委任契約と言います。
委任契約も準委任契約も、権利義務関係で実質的な違いはありません。

代表的な契約のイメージとしては、
会社と取締役との間の契約、大半のコンサルティング契約、
弁護士、税理士、社労士等との(大半の)顧問契約、
医者による医療契約等が挙げられます。

請負契約は「仕事の完成」とそれに対する「報酬」があることが要件でした。
「仕事の完成」というくらいですから、結果重視です。

一方、委任契約は「プロセス重視」です。
善良な管理者としての注意義務(通称、善管注意義務)を法律上負っています。

善管注意義務とは、委任された分野のプロとしての
注意を払いながら委任事務を行う義務です。

望ましい結果が得られない場合であっても、プロとしての注意を払っていた場合は
責任を取らなくてもいいですが、
仕事をするプロセスで、プロだったら当然気づくべき点を気づけなかったばかりに
望ましい結果が得られなかった場合は、善管注意義務に違反したことになります。

従って、取締役は経営のプロとしての注意を払いながら経営をする訳ですが、
プロとしての注意を払っていれば、会社が赤字になっても
株主から責任を取らされることはありません。

さて、この委任契約もやりようによっては雇用契約から切り替えることが可能です。

切り替えることができれば、会社としては社会保険料の負担がなくなりますし、
残業代の支払い、有給休暇の付与等の労働基準法上の義務からも解放されます。

当然のことですが、この切換えを合法的にするには、
雇用契約の色彩をなくすことが求められます。

雇用契約の場合は、会社と従業員の関係は使用/従属関係ですが、
委任契約の場合は、対等です。
委任事務をきちっとやってもらえればそれでよいのですから、
雇用契約のように何時から何時まで、どこそこで働け、というこまごまとした規制や、
指揮命令していると疑われる程度にまで仕事の進め方に口を出しすぎるのも御法度です。

当然ですが、雇用契約が前提の就業規則も適用できません。

また、従業員に対しても、労災保険は適用外となること等、
雇用契約と委任契約の違いについて
しっかり説明しないとトラブルの元となります。

実際に切換えを行う場合は、上記の他にも個々の企業ごとに検討すべきことが生じます。
信頼できる社労士か弁護士と相談しながら切換えを進めることをお勧めします。

□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■■□□□□□□□■■■■■■■□□
こちらのサイトもご覧ください!
★ 就業規則作成相談室
★ 中野人事法務事務所
★ 中野人事法務事務所FACEBOOK
□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■■□□□□□□□■■■■■■■□□

委任契約と雇用契約の違いって何ですか?の続きを読む ≫

雇用契約だからこそできることって何ですか?

雇用契約よりも、委任契約や請負契約を締結する方が
残業代は支払わなくて済むし、社会保険料はかからないし、
契約の解消も簡単にできるし・・・、いいこと尽くめのような気もしますが、
そんなことはありません。

何事もデメリットもあれば、メリットもあります。

そもそも雇用契約の本質は
労働力を提供する代わりに、労働の対価としての賃金をもらうというものです。

労働力を提供する訳ですから、その労働力をどのように活用するかという点については、
会社側に相当広い裁量権が渡されています。

経理で働いていた人を営業に回すこともできますし、
平社員として働いていた人を管理職にすることもできます。
「ついでにこの仕事もやっておいて。」と業務範囲を広げることもできます。
原則として出向、転勤等にも幅広い裁量権が会社に与えられています。

何時から何時まで、どこそこで働いてくれ、という指示もできますし、
会社が指定する作業手順を遵守してくれ、という指示も可能です。

これらを請負契約や委任契約の枠組みでやろうとすると、
相当無理が生じますし、無理どころか違法行為となる可能性も秘めています。

残業代の節約や社会保険料の節約も会社に取っては切実な問題ですが、
形式的には委任や請負契約、実態は雇用契約とすると、
トラブルになったときに雇用契約にひもづいている
様々な法律に違反するリスクを抱えてしまいます。

やはり、王道としてはそもそもどういう働き方、
どういう関係性を相手と求めているのかという軸をしっかり確立した上で、
その軸にふさわしい形式を整えていくということになろうかと存じます。

□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■■□□□□□□□■■■■■■■□□
こちらのサイトもご覧ください!
★ 就業規則作成相談室
★ 中野人事法務事務所
★ 中野人事法務事務所FACEBOOK
□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■■□□□□□□□■■■■■■■□□

雇用契約だからこそできることって何ですか?の続きを読む ≫

生命保険の営業スタッフは雇用契約?委任契約?

生命保険会社で働く営業の方に伺うと、
営業成績によって、報酬のアップダウンが相当激しいそうです。

成果を出している営業スタッフ(保険外務員)は、年収が億単位。
一方、成果を出せない営業スタッフは、月収がなんと数万円程度とか...。
(必然的に辞めていくことになります。)
雇用契約の場合、従業員には「最低賃金法」が適用されます。
数万円程度では、最低賃金法に抵触してしまいます。

ところが、そのあたりはうまくできていまして、
下記の要件を満たす場合は、原則として雇用契約ではなく、
委任契約とすることになっています。
(昭和23年1月9日 基発13号より)

1 所属会社との契約を委任契約にすること(雇用契約を締結しない)
2 保険外務員に対して、成績に応じて受任事務の処理経費や報酬を
  受け取ることができるようにすること
3 保険外務員の名称を「職員」とする等、雇用契約を想起させるような名称にしないこと
4 所属会社は保険外務員の労働の時間および場所などを制限しないこと
  ただし、委任契約によって募集地域を委任することはOK
5 上記4点を満たしても、実質上労働関係があるとみなされる場合は、
  法の適用があるので注意すること

実際、P社やS社の方に伺ってみると、
基本経費は本人負担だそうで、移動にかかる交通費はもちろん、
名刺、営業用のパンフレットは会社から購入するそうです。
(雇用契約であれば、会社が負担すべきものです。)

また、所得税については一人ひとりが個人事業主として取り扱い、
会社が年末調整をしてくれることもありません。
個人で確定申告をするそうです。

□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■■□□□□□□□■■■■■■■□□
こちらのサイトもご覧ください!
★ 就業規則作成相談室
★ 中野人事法務事務所
★ 中野人事法務事務所FACEBOOK
□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■■□□□□□□□■■■■■■■□□

生命保険の営業スタッフは雇用契約?委任契約?の続きを読む ≫

光GENJIは労働基準法上の労働者か?

テレビ等に出演する子役、小学生等で構成された歌手グループって、
労働基準法に定められいる労働者なのでしょうか。

労働基準法で定義されている労働者に該当する場合、
当然ながら、労働基準法の様々な制約が使用者側(芸能プロダクション)に課せられます。

労働基準法では、大原則として、中学校を卒業する3月一杯までは労働者として使用してはいけないことを定めています。(第56条第1項)
ただし、児童の健康や福祉に有害でなく、かつその労働が軽易なものである場合は、
労働基準監督署の許可を受けて、満13歳以上の児童を修学時間外に使用することができます。
さらに、映画の製作や演劇の事業については、
満13歳に満たない児童についても、労働基準監督署の許可を得ることで、
修学時間外に使用することができることとなっています。(第56条第2項)

ということで、小学生以下の年齢の子役や歌手であっても
条件つきではありますが、労働基準法上に定める労働者として
働いてもらうことはできるのです。

この問題で一番イメージがわくのが、深夜労働じゃないでしょうか。

以前、「ザ・ベストテン」という久米宏さんと黒柳徹子さんが司会を務めた番組がありました。
夜9時からの生放送番組だったため、小学生等の歌手の場合は、
出演できない、と司会者が伝えていたような記憶があります。

こういった子役の場合、原則として夜8時(一定の条件を満たした場合は夜9時)
以降の労働は禁止されています。
これを根拠として、夜間の活動をしないことになっているのです。

そんな中、昭和63年7月30日基収355号で、次の要件を全て満たす場合は、
そもそも労働基準法上に定める労働者ではない、との通達が出ました。

1 当人の提供する歌唱、演技等が基本的に他人によって代替できず、
  芸術性、人気等当人の個性が重要な要素となっていること。
2 当人に対する報酬は、稼働時間に応じて定められるものではないこと。
3 リハーサル、出演時間等スケジュールの関係から時間が制約されることはあっても
  プロダクション等との関係では時間的に拘束されることはないこと。
4 契約形態が雇用契約ではないこと。

どうも、この通達が出されたきっかけが当時の人気アイドル「光GENJI」にあったようで、
この通達、俗に「芸能タレント通達」または「光GENJI通達」と呼ばれています。

この要件を満たす限り、労働基準法の制約の範囲外となります。
したがって、夜何時まででも芸能活動をしてよいことになります。

ただし、上記4点、個々の事例に当てはめて考えると、解釈に結構あいまいな点も多く、
実際はテレビ局や芸能プロダクション側の自主規制をしているようです。

□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■■□□□□□□□■■■■■■■□□
こちらのサイトもご覧ください!
★ 就業規則作成相談室
★ 中野人事法務事務所
★ 中野人事法務事務所FACEBOOK
□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■■□□□□□□□■■■■■■■□□

光GENJIは労働基準法上の労働者か?の続きを読む ≫

競輪の選手は労働基準法上の労働者!?

昭和20年代の前半、競輪選手が、競走中転倒し、
22名もの選手たちがいずれも全治1カ月程度の負傷を負った事件が起きました。
この負傷をきっかけに、「労災が適用されるのでは?」という話が持ち上がったそうです。
労災が適用されるには、そもそも競輪選手が
労基法上(=労災保険法上)の労働者に該当するかどうかが問題になります。

昭和25年4月24日、基収4080号の通達により、
競輪選手は労働者ではないとされました。

理由は次の通りです。

★自転車競走施行者は参加者に競争の場を提供するだけ。
  (自転車競走施行者と参加者の間に使用従属関係がない)
★参加者に支給される日当および宿泊料は実費弁償として支給されるものであり、
 労働力提供の対価としての賃金ではない。
★参加者に支給される賞金は、競争参加の目的物であり、
 こちらも労働力提供の対価としての賃金ではない。

競輪選手の大半は、おそらくは個人事業主と思われます。
個人事業主は労基法上の労働者ではありません。
それどころか、「事業主」とつくくらいですから、経営者なのです。

経営者ですから、原則としては通勤途中のけがや業務中のけがについて、
労災が下りるわけではありませんし、
有給休暇制度もなければ、最低賃金等の法律で守られる範囲外の人です。
残業という概念もなければ、残業手当もありません。

私もサラリーマン生活をやめて、数年間は個人事業主として生計を立てておりました。
最初は不安だらけだった様な気もしますが、
慣れてくると、不思議と気にならなくなりましたし、
むしろ、こちらの世界の方が自分には合っているなと思いました。

ただ、同じ個人事業主でも社労士と競輪選手では
仕事の内容や危険度、職業人としての寿命など、いろいろと異なります。
そのあたりの実態を競輪選手の人の聞ける機会がありましたら、
追加でご報告いたします。

□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■■□□□□□□□■■■■■■■□□
こちらのサイトもご覧ください!
★ 就業規則作成相談室
★ 中野人事法務事務所
★ 中野人事法務事務所FACEBOOK
□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■■□□□□□□□■■■■■■■□□

競輪の選手は労働基準法上の労働者!?の続きを読む ≫

インターンシップは労働者?

先日、ある企業に伺ったところ、数名の学生さんが一生懸命働いていました。
てっきりアルバイトとして働いているのかと思ったところ、
「インターンシップ」として無給で働いているとこのこと。

ご本人たちは「普通のアルバイトではできない経験をさせてもらっている。
お金なんかいらないので、もっと学生のうちにいろいろ経験を積んでいきたい。」と語りました。

社長さんに聞いてみると、「知り合いの学生に声をかけたら、いつの間にかネットワークが広がった。
こちらも人件費がかからずに済むし、学生さんの経験を積みたいという気持ちも満たしているので、
Win-WInなんじゃないか。」とお話しています。

法的には大丈夫なんでしょうか?

平成9年9月18日基発636号によると、
原則としてインターンシップは労働者ではないとしながらも、
次の場合には労働者となるので注意を喚起しています。

★直接生産活動に従事する等、その作業による利益・効果が会社に帰属する。
★会社と学生との間に使用従属関係が認められる。

また、この件については商船大学等の実習生について
労働者性の有無の判断基準が記載されている
昭和57年2月19日基発121号も参照してほしいとあります。

こちらに記載されている判断基準の骨子は次のようなものです。
なお、実習は「インターンシップ」、
実習生は「インターンシップ生」と置き換えて表記しておきます。

★インターンシップは会社の従業員で、
  大学等から実習の指導を委嘱された者の指導の下に行われていること。
★インターンシップは、通常、現場実習を中心として行われており、
 その現場実習は、通常、一般労働者とは明確に区別された場所で行われ、
 あるいは見学により行われていること。
★生産ラインの中で行われている場合であっても
  軽度の補助的作業に従事する程度にとどまり、
  インターンシップ生が直接生産活動に従事することはないこと
★インターンシップ生の欠勤、遅刻、早退状況及び実習の履修状況は、
 通常、まず会社によって把握・管理されているが、
 工場実習規定等に定める所定の手続きを経て、
 最終的には大学等において把握・管理されていること。
★インターンシップ生の実習規律については、
 通常、会社の諸規則が準用されているが、
 それらに違反した場合にも、通常、会社としての制裁は課されないこと

なお、本日、東京労働局に確認したところ、
この商船大学に関する通達は、
インターンシップに大学が介在するケースの取り扱いを言っているものであり、
インターンシップを行う際、必ず大学が介在しなければならないということではありません。

したがって、大学が介在しないインターンシップであれば、
遅刻・早退・欠勤などについて大学等で把握・管理すること等の文言は
特に気にする必要はありません。

なお、インターンシップについては平成9年の通達を出す際に、
文部省、通商産業省、労働省が
『インターンシップの推進にあたっての基本的考え方』
という付属資料を発表しています。

結局、次の2点はしっかり押さえておく必要があります。

★仕事を体験させる場合はちょっとした軽作業に留めること
  (労働者としての労働力を期待しない。)
★使用従属関係を疑われるような言動を慎むこと

また、労働者ではないからこそ、賃金も支払わないわけですが、
となると、職場にいる間や通勤途中のケガに対して、労災も適用されなくなります。
(特に職場にいる最中に起きたケガが心配です。)
いざというときのために、民間の保険への加入等を検討することもご検討ください。

□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■■□□□□□□□■■■■■■■□□
こちらのサイトもご覧ください!
★ 就業規則作成相談室
★ 中野人事法務事務所
★ 中野人事法務事務所FACEBOOK
□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■■□□□□□□□■■■■■■■□□

インターンシップは労働者?の続きを読む ≫

海外派遣労働者に労働基準法は適用されるか?

海外において日本の建設業者により土木建築工事が施工される場合に、
派遣されて作業に従事する従業員に対して労働基準法は適用されるのでしょうか?

これについては次のように考えます。

1 日本国内の土木建築事業が国外で作業を行う場合で、
  その作業場が一つの独立した事業と認められない場合には、
  現地における作業も含めてその事業に労働基準法は適用されます。

2 労働基準法違反行為が国外で行われた場合には、
  刑法総則の定めるところにより罰則は適用されません。
  ただし、日本の国内にある使用者に責任がある場合にはこの使用者は処罰されます。

3 前記「2」に述べたように使用者が国外で労働基準法違反行為をしても
  罰則の適用はありません。
  ただし、その場合でも従業員は使用者の民事上の責任を追及することができます。
(以上、昭和25年8月24日 基発776号より)

この行政解釈を基礎とすると、海外支店や現地法人など外国にある事業場には、
労働基準法は適用されないことになります。
これに対して海外出張の場合には、その従業員の国内の事業に所属するものといえることから、
労働基準法が適用されることになります。

それでは、労働契約や民法などについてはいかがでしょうか。

これらの領域については、労働契約にどの国の法を適用すべきかという準拠法の問題が生じます。
これについては現在、法の適用に関する通則法が規定しています。

労働契約においても、どの国の法を適用すべきかについて
契約当事者の選択は認められます(通則法7条)。

ただし、当事者が適用する国の法の選択を行った場合であっても、
従業員がその労働契約に最も密接な関係がある地の法
(原則として、労務提供地の法がこれにあたると推定されます。通則法12条2項)
における特定の強行規定を適用すべき旨の意思を会社に対して伝えたときには、
強行規定の定める事項については、その強行規定も適用されます(通則法12条1項)。

当事者が法選択を行わない場合には、
その労働契約において労務を提供すべき地の法が、
その労働契約に最も密接な関係がある地の法と推定され、適用されます。
(通則法8条、通則法12条3項)

□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■■□□□□□□□■■■■■■■□□
こちらのサイトもご覧ください!
★ 就業規則作成相談室
★ 中野人事法務事務所
★ 中野人事法務事務所FACEBOOK
□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■■□□□□□□□■■■■■■■□□

海外派遣労働者に労働基準法は適用されるか?の続きを読む ≫

試用期間を延長することはできるか?

就業規則で試用期間を3ヶ月に定めている会社があります。
場合によっては試用期間を延長することがあることも記載されていますが、
ある社員について3ヶ月だけでは見極めがつけられず、
もう3か月延長したいと考えています。

こうした試用期間の延長は法的には問題ないのでしょうか?

まず、試用期間の長さについては、
長ければ長くなるほど、解雇権が留保されるなど
従業員にとっては不安定な地位に置かれることになります。

したがって、試用期間の長さはその目的に照らして合理的なものでなければなりません。

具体的に試用期間の長さを規定している法律はありませんが、
不必要に長い場合には、
「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。」
という民法90条違反に問われることになります。

ただ、6ヶ月までならほぼ確実に問題なく、
1年を超えると「不必要に長い」とされかねないというのが、
私の経験則です。

判例を見ると、試用期間の更新を認めなかった裁判例が数多くあります。
(例:昭和31年1月21日、大阪地裁、電電公社大阪地区電話局事件)

一方、試用期間の更新を認めた裁判例もあります。

ただ、この裁判例の場合、
本来、解雇理由がある人だったのですが、
従業員側の利益のため解雇を猶予する措置として
試用期間を延長したという特殊事情がありました。

試用期間の延長がなければ解雇となるケースだったことから、
試用期間の延長が一概に従業員に不利であるとは言えず、
裁判所でもやむを得ないとして、更新を認めました。
(昭和42年1月27日、大阪地裁、大阪読売新聞社事件)

いずれにしても、裁判等になると、
たとえ就業規則等で試用期間の延長ができる旨が記載されていても、
試用期間中に適格性を判断できない特別な事情がない限り、
試用期間の延長は難しいと考えた方が無難です。

もし、試用期間の延長をする場合は、
労働条件の(不利益)変更にもなりますので、
トラブルにならないよう、本人の同意を得てください。

また、私の場合は、お客様に対して試用期間を6ヶ月にすることをお勧めしております。
6ヶ月なら公序良俗には反しませんし、
労働基準監督署からも指導を受けたことなどありません。

心の中では3ヶ月の試用期間であると思っておけば、
3ヶ月で見極めがついた人は
「本来試用期間は6ヶ月だけど、
 あなたは4ヶ月目から正社員として雇用しますね。」と言えば、
本人は嬉しく思うでしょう。

また、3ヶ月で見極めがつかない人は、
何の手続きもせずにあと3ヶ月見極められるのですから、
延長するための同意を得る作業が不要です。
本人とのトラブルを回避することにもつながります。

□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■■□□□□□□□■■■■■■■□□
こちらのサイトもご覧ください!
★ 就業規則作成相談室
★ 中野人事法務事務所
★ 中野人事法務事務所FACEBOOK
□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■■□□□□□□□■■■■■■■□□

試用期間を延長することはできるか? の続きを読む ≫

アーカイブ

Quickサムライコンタクト