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中野人事法務事務所中野 泰(なかの やすし)
ブログ記事一覧
いきなり本採用したが3日後に即日解雇。解雇予告手当の支払い義務はあるか?
試用期間を延長することはできるか?
就業規則で試用期間を3ヶ月に定めている会社があります。
場合によっては試用期間を延長することがあることも記載されていますが、
ある社員について3ヶ月だけでは見極めがつけられず、
もう3か月延長したいと考えています。
こうした試用期間の延長は法的には問題ないのでしょうか?
まず、試用期間の長さについては、
長ければ長くなるほど、解雇権が留保されるなど
従業員にとっては不安定な地位に置かれることになります。
したがって、試用期間の長さはその目的に照らして合理的なものでなければなりません。
具体的に試用期間の長さを規定している法律はありませんが、
不必要に長い場合には、
「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。」
という民法90条違反に問われることになります。
ただ、6ヶ月までならほぼ確実に問題なく、
1年を超えると「不必要に長い」とされかねないというのが、
私の経験則です。
判例を見ると、試用期間の更新を認めなかった裁判例が数多くあります。
(例:昭和31年1月21日、大阪地裁、電電公社大阪地区電話局事件)
一方、試用期間の更新を認めた裁判例もあります。
ただ、この裁判例の場合、
本来、解雇理由がある人だったのですが、
従業員側の利益のため解雇を猶予する措置として
試用期間を延長したという特殊事情がありました。
試用期間の延長がなければ解雇となるケースだったことから、
試用期間の延長が一概に従業員に不利であるとは言えず、
裁判所でもやむを得ないとして、更新を認めました。
(昭和42年1月27日、大阪地裁、大阪読売新聞社事件)
いずれにしても、裁判等になると、
たとえ就業規則等で試用期間の延長ができる旨が記載されていても、
試用期間中に適格性を判断できない特別な事情がない限り、
試用期間の延長は難しいと考えた方が無難です。
もし、試用期間の延長をする場合は、
労働条件の(不利益)変更にもなりますので、
トラブルにならないよう、本人の同意を得てください。
また、私の場合は、お客様に対して試用期間を6ヶ月にすることをお勧めしております。
6ヶ月なら公序良俗には反しませんし、
労働基準監督署からも指導を受けたことなどありません。
心の中では3ヶ月の試用期間であると思っておけば、
3ヶ月で見極めがついた人は
「本来試用期間は6ヶ月だけど、
あなたは4ヶ月目から正社員として雇用しますね。」と言えば、
本人は嬉しく思うでしょう。
また、3ヶ月で見極めがつかない人は、
何の手続きもせずにあと3ヶ月見極められるのですから、
延長するための同意を得る作業が不要です。
本人とのトラブルを回避することにもつながります。
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