例えば、土日が休みの会社があるとします。
Aという部署が忙しく、人手が足りないので、
Bという部署のメンバーに声をかけて、
希望者には土日に「アルバイト」として働いてもらうことはできるのでしょうか?
1 雇用契約上の問題
雇う側の会社も、雇われる側の従業員も同一であるにもかかわらず、
平日は正社員として雇用契約を結び、
休日はアルバイトとして別個の雇用契約を結ぶというのは
理論的にはありえますが、
実態は一体のものとして取り扱うべきものです。
そうしなければ、どこの会社も休日は「アルバイト」扱いにすることで、
休日出勤が休日出勤でなくなってしまいます。
これでは労働基準法が骨抜きとなってしまい、法の趣旨に反してしまいますので、
認められないわけです。
さらに、労働時間は、事業場を異にする場合においても、
労働時間に関する規定の適用については通算するという定めがあります。
(労基法38条第1項)
したがって、仮に1日の所定労働時間が8時間の会社であれば、
平日5日分で週の法定労働時間40時間となりますので、
土日のどちらかに出勤した時点で1.25倍で計算することになりますし、
その日が法定休日であれば、1.35倍で計算することになります。
2 残業単価
昭和23年11月22日基発第1681号には次のような説明があります。
所定労働時間中に甲作業に従事し、
時間外に乙作業に従事したような場合には、
その時間外労働についての「通常の労働時間又は労働日の賃金」とは、
乙作業について定められている賃金である。
ここから、休日労働での作業に対して
普段の仕事とは別の賃金が割り振られている場合は、
休日労働の作業に見合った賃金を元にした残業単価で計算すればよいということになります。
まとめ
1 雇用契約上は、二つの雇用契約を走らせるのは無理がある。
2 労働時間は平日の業務と通算して計算しなければならず、
その上で、割増賃金が発生する場合は、割増賃金を支払わなければならない。
3 ただし、残業単価はその作業に見合った賃金が設定されている場合は、
その賃金を元にして計算して構わない。
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