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中野人事法務事務所中野 泰(なかの やすし)

ブログ記事一覧

パートから正社員に雇用区分変更。有給休暇はどう考える?

1年間パートとして働いていた人が、正社員に雇用区分を変更しました。
この場合、有給休暇についてはどのように考えればよいのでしょうか?

1 パート時代に付与された有給休暇はそのまま引き継がれます。

例えば、パート時代は週1日の契約で働いていた場合、
要件を満たしていれば、入社6ヶ月経過時点で、
1日の有給休暇が付与されます(比例付与)。

この有給休暇を使っていなければ、
1年後に正社員になった時点で、
この有給休暇は引き継がれます。

2 パートを始めた日を入社日として計算します。

正社員に雇用区分が変更された日を入社日とするのではなく、
パートとして働き始めた日を入社日として、計算します。

事例の場合ですと、パートとして1年間在籍してから
正社員になったということですので、

パートとして働き始めた日から起算して、
1年6ヶ月(正社員になってからですと6ヶ月)経過後に
正社員としての有給休暇「11日」を付与することになります。

ちなみに、正社員からパートに雇用区分が変更した場合も同様です。
入社日はパートに雇用区分が変更した日はなく、
正社員としての入社日を有給休暇の計算上の入社日とします。

また、雇用区分を変更する際に、
一度形式的に退社した場合であっても、
有給休暇算定上の勤続年数は通算します。

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年次有給休暇の「全労働日」の解釈に変更が加えられました。

平成25年7月10日付で厚生労働省労働基準局長が
都道府県労働局長宛てに出した通達文書
(基発0710第3号)により、
年次有給休暇算定の基礎となる全労働日の取扱いに
変更がなされました。

通達文書をベースに、詳細を以下、ご紹介します。

年次有給休暇算定の基礎となる全労働日の取扱いについて

平成25年6月6日、労働基準法第39条の解釈について、
最高裁第一小法廷において別添のような判決がなされたことを受け、
昭和63年3月14日付け基発第150号・婦発第47号
「労働基準法関係解釈例規について」について、
下記のとおり改めることとします。

第1 法第39条関係<出勤率の基礎となる全労働日>を
   次のように改めます。

<出勤率の基礎となる全労働日>

年次有給休暇の請求権の発生について、
法第三十九条が全労働日の八割出勤を条件としているのは、
労働者の勤怠の状況を勘案して、
特に出勤率の低い者を除外する立法趣旨であることから、
全労働日の取扱いについては、次のとおりとする。

1 年次有給休暇算定の基礎となる全労働日の日数は
  就業規則その他によって定められた所定休日を除いた日をいい、
  各労働者の職種が異なること等により異なることもあり得る。
  したがって、所定の休日に労働させた場合には、
  その日は、全労働日に含まれないものである。

  →「1」は特に変更ありません。
  →「2」以下が変更となりました。

2 労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日は、
  3に該当する場合を除き、出勤率の算定に当たっては、
  出勤日数に算入すべきものとして全労働日に含まれるものとする。

  例えば、裁判所の判決により解雇が無効と確定した場合や、
  労働委員会による救済命令を受けて
  会社が解雇の取消しを行った場合の
  解雇日から復職日までの不就労日のように、
  労働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために
  就労することができなかった日が考えられる。

3 労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日であっても、
  次に掲げる日のように、当事者間の衡平等の観点から
  出勤日数に算入するのが相当でないものは、
  全労働日に含まれないものとする。

  (一) 不可抗力による休業日
  (二) 使用者側に起因する経営、管理上の障害による休業日
  (三) 正当な同盟罷業その他正当な争議行為により
     労務の提供が全くなされなかった日

第2 法第39条関係<全労働日がゼロとなる場合の
   年次有給休暇>を削ります。

削る前は、いったん解雇になった従業員が、
後日、解雇が取り消され、
復職した労働者が年次有給休暇を請求したという
事例があったことに対する
判断が書かれた通達がありました。

この時の判断は、次の通りでした。

――――――――――――――――――――――――
労働日がゼロとなる場合は、
前年に労働日のあることを前提とする法第39条の解釈上、
8割以上出勤するという法定要件を充たさないから、
年次有給休暇の請求権は発生しない
(昭和27年12月2日 基収5873号)
――――――――――――――――――――――――

この解釈をそのままにしておきますと、
「第1」の「2」の解釈と矛盾が生じてしまいます。

そこで、解釈の変更に当たり、これを削ることにしました。
ということで、今後はこうした事例の場合、
年次有給休暇の請求権は発生するということになります。

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有給休暇の出勤率を計算する際の休職期間の取り扱い方は?

有給休暇を付与する際、出勤率を算定します。
8割以上であれば、有給を付与することになっていますが、
休職期間がある人については、
その期間について、どのような処理をすればよいのでしょうか?

出勤率は【出勤日数/全労働日数】で計算します。

休職期間中は出勤していませんので、
出勤日数にはカウントしません。

全労働日数とは、労働義務のある日の総日数です。

休職期間中は労働を免除されている期間ですので、
全労働日数にもカウントしません。

結局、休職期間中の日数は、
分子からも分母からも覗いて計算します。

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パート・アルバイトに対する有給休暇【比例付与】

まず、大前提として押さえておきたい点は、
アルバイトやパートであっても
要件さえ満たせば年次有給休暇が付与されるという点です。

【年次有給休暇が付与される要件】

年次有給休暇が付与される要件は下記の2つです。

1 雇い入れの日から6か月経過していること
2 その期間の全労働日の8割以上出勤したこと

【年次有給休暇の付与日数】

1 原則的な日数


下記のいずれかの要件が当てはまる場合は、
表1が適用されます。

 1 週所定労働時間が30時間以上
 2 所定労働日数が週5日以上
 3 1年間の所定労働日数が217日以上

《表1》

雇入れの日から起算した勤続期間
 ⇒ 付与される休暇の日数

  6か月   ⇒ 10労働日
1年6か月   ⇒ 11労働日
2年6か月   ⇒ 12労働日
3年6か月   ⇒ 14労働日
4年6か月   ⇒ 16労働日
5年6か月   ⇒ 18労働日
6年6か月以上 ⇒ 20労働日

年次有給休暇の付与要件を満たした場合、
入社6ヶ月経過日に10労働日の年次有給休暇が付与されます。

また、最初に年次有給休暇が付与された日から1年を経過した日に、
最初の年次有給休暇が付与されてから
1年間の全労働日の8割以上出勤していれば、
11労働日の年次有給休暇が付与されます。
その後、同様に要件を満たすことにより、
表1に示す日数が付与されます。

2 比例付与

パートタイム労働者など、
所定労働日数が少ない労働者の場合の
年次有給休暇の付与日数は表2の通りです。

なお、表2は、次の要件を満たしている場合に適用されます。

1 週所定労働時間が30時間未満

かつ

2 週所定労働日数が4日以下
  または
  1年間の所定労働日数が48日から216日までの労働者

《表2》

比例付与.png

【比例付与による年次有給休暇のポイント】

なお、上記の表は原則的には週所定労働日数で判定します。
例えば、月曜日と木曜日の週2回出勤する契約をしている
アルバイトの場合は、週所定労働日数2日の行を見るわけです。

ただ、中には週所定労働日数を決めずに、
働いているアルバイトの方もいます。

こうした場合、1年間の所定労働日数の欄で判定をします。

また、今まで週4日の契約で働いていたアルバイトが
年次有給休暇付与日直前に週1日の契約に変わった場合、
付与日数は、週1日の行で判定します。
逆のパターンも同様です。

結局、付与日の時点での契約の状況に応じて
付与すればよいということです。

【時期指定権と時期変更権】

年次有給休暇は、労働者が請求する時季に
与えなければならないと労働基準で定められています。
これを時季指定権と言います。

一方、使用者は、労働者が請求した時季に
年次有給休暇を与ることが
事業の正常な運営を妨げる場合にのみ、
他の時季に年次有給休暇をえることができます。
これを時季変更権と言います。

なお、年次有給休暇を付与しないとすることはできません。

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年次有給休暇の意義とは? その2

労働行政の場において、
年次有給休暇の解釈運用の元となる考え方の
ご紹介、その2です。

年次有給休暇を労働者がどのように利用するかは
労働者の自由です。

しかし、労働者がその所属の事業場において
その業務の正常な運営の阻害を目的として
一斉に休暇を提出して職場を放棄する場合は、
年次有給休暇に名を借りた同盟罷業です。
こうした場合、年次有給休暇の行使とは言えません。

ただ、このように言えるのは、
その労働者の所属する事業場で
休暇闘争が行われた場合のことです。

他の事業場における争議行為に
休暇を取って参加するような場合は、
年次有給休暇の行使として認められます。
(昭和48年3月6日 基発110号より。
 分かりやすくするため、若干文章を改変しています。)

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年次有給休暇の意義とは? その1

現在、労働行政の場において、
年次有給休暇の解釈運用の元となる考え方は、
次の通りとなっています。
文章が若干長いので、2回に分けてご紹介します。

年次有給休暇の権利は、
法定要件を充たした場合、
法律上当然に労働者に生ずる権利であり、
労働者の請求を待って
初めて生ずるものではありません。

年次有給休暇について定めている
労働基準法第39条のうち、
第5項において「請求」という言葉が登場します。

労働基準法第39条第5項―――――――――――

使用者は、前各項の規定による有給休暇を
労働者の請求する時季に与えなければならない。

ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが
事業の正常な運営を妨げる場合においては、
他の時季にこれを与えることができる。
―――――――――――――――――――――

この「請求」とは休暇の時季を指定するという趣旨であり、
労働者が時季の指定をした時は、
客観的に同項ただし書き所定の事由、
つまり、請求された時季に有給休暇を与えることが
事業の正常な運営を妨げるという事由が存在し、
かつ、これを理由として使用者が
時季変更権の行使をしない限り、
その指定によって年次有給休暇が成立し、
その労働日における就労義務が消滅します。

以上の解釈により、
年次有給休暇の成立要件として、
労働者による「休暇の請求」や、
これに対する使用者の「承認」というような観念を
容れる余地はありません。
(昭和48年3月6日 基発110号より。
 分かりやすくするため、若干文章を改変しています。)

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有給休暇のパンフレット

有給休暇に関する約束事って、
どのようなことがあるんでしょうか?

こちらのパンフレットには一通り記載されているので、
とても便利です。
しっかりマスター労働基準法〜有給休暇編〜.pdf
(東京労働局作成のパンフレットです。)

職業柄、お客様の就業規則を拝見することがありますが、
法定を下回る日数が記載されているケースを時々見かけます。

経営者から見れば、仕事をする日に休まれるのが痛手で、
仕事が回るのかどうか、心配になります。
そして、給与も支払わなければならないことが
さらに追い討ちをかけます。

ただ、インターネットで調べればすぐに分かるような
法違反の日数を就業規則に掲げていては、
従業員との信頼関係が損なわれやしないかと心配です。

一方、従業員からすると、
有給休暇を申請しづらい会社というのも
正直、魅力に欠けますね。

ただ、「有給休暇の取得は労働者の権利だ!」等として、
会社の都合は一顧だにせず、
取得するというのも寂しい話です。

こうした会社は、
「A or B」(AにするかBにするかのどっちか)の
発想から抜け出ていない気がします。

双方が話し合いの席をしっかり持って、
「A and B」、経営者側の心配も払拭し、
有給休暇の取得もしやすい、
節度を持った社内ルールを
定めてみてはいかがでしょうか。

ちなみに、こうした智慧については
パンフレットには記載されておりません(苦笑)。

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欠勤時に、残っている有給休暇を強制的に消化させることは可能か?

欠勤の場合は、通常無給です。

そこで、年次有給休暇が残っている場合は、
残っている年次有給休暇日数から
充当することを就業規則に定める等して、
(従業員の意思とはかかわりなく)
欠勤に対して、残っている有給を
強制的に使わせることはできるのでしょうか。

結論から申し上げると、法的にはできません。

労働基準法第39条が定める年次有給休暇とは、
原則として、従業員が「○月○日に有給休暇を使って休みたい」と
時期指定をすることで、年次有給休暇が成立します。
(従業員の指定に対して、会社が適法な範囲内で
 時季変更権の行使をした場合は、話が変わりますが...)

したがって、会社側が、従業員の意思とは無関係に、
「欠勤した場合は、残っている有給を充てさせる」ということはできません。

なお、欠勤した日について、後日、従業員から
「有給休暇を充当させたい」と申し入れがあったとします。

この場合、断っても労働基準法違反にはなりませんが、
従業員の申し入れに受け入れ、
有給休暇として取り扱うことは、
法的には差し支えないとされています。

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前倒し付与した年次有給休暇はいつまで有効か?

労働基準法上では最初の年次有給休暇は
入社半年後に10日付与すればよいとされているところ、
一部前倒し、例えば、入社日に3日、
入社半年後に7日付与する会社があります。

この場合、入社日に付与した3日はいつまで有効なのでしょうか?

結論から申し上げると、付与された日から2年間有効です。

中には、入社半年後を起算日にして
2年後(3日付与された日から2年半後)
なのではないかと考える方もいらっしゃるようですが、
そうではございませんので、ご注意ください。

なお、このように10日間の年次有給休暇の一部を
前倒しして付与することを「分割付与」と言います。

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欠勤を事後、年次有給休暇として振り替えることはできるか?

急な病気で会社を休んだ従業員から
「先日の休んだ分、有給休暇ってことにしてもらえますか?」
と言われた場合、会社として認めなくてはならないのでしょうか?

法的には認める義務はありません。

年次有給休暇は事前請求が原則です。
事後請求を認めてしまったら、
使用者側で「時季変更権」を行使する余地がなくなってしまいます。

ただし、使用者が、従業員からの事後の申し出を認める分には構いません。
(従業員に有利な話なので)

事後振替を認める場合は、
就業規則などで事後振替ができる旨を定めておくとよいでしょう。

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定年後再雇用された人の年次有給休暇の取扱いは?

60歳で定年を迎えた人が継続雇用制度により再雇用されました。
通常、退職時に消化し切れなかった有給休暇の権利は消滅しますが、
再雇用の場合はどのように取り扱えばよいのでしょうか?

結論を申し上げると、定年なくそのまま継続して勤務した人と
同じように取り扱います。

具体的には次の通りです。

★ 定年時に未消化であった日数は再雇用後にも引き継がれます。
★ 定年退職・再雇用といったん契約がリセットされたとしても、
   「継続勤務」の要件を満たします。
★ 付与時には定年前からの勤務年数によって加算された日数を付与します。

一般に、退職時に未消化の年次有給休暇の権利は消滅しますが、
それは、雇用関係が存在しなくなる以上、
年次有給休暇を取るということができなくなるからです。

再雇用の場合は、契約の内容
(例:月給制から時給制へ等)は変わることが多いですが、
雇用関係そのものは消滅するわけではありません。

雇用関係が存続するわけですから、
定年時に未消化の有給休暇を
再雇用後に取得することができるわけです。

したがって、定年前の未消化分の
有給休暇の日数は引き継がれます。

次に、年次有給休暇の付与要件として
下記のものがあります。

「1年間(初年度は6ヶ月間)継続勤務し、
 全労働日の8割以上出勤した労働者」
(労働基準法第39条)

定年を迎え再雇用されるということが、
継続勤務として考えられるかどうかがポイントです。

こちらも前述の通り、雇用関係そのものは
引き継がれておりますので、
継続勤務していると考えます。

また、雇用関係そのものは引き継がれている観点から、
再雇用後の年次有給休暇の付与日数は
定年前の勤続期間も加えた付与日数を付与しなければなりません。

結局、定年を迎えずに引き続き勤務している人と
同一の処理をするということになります。

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半日の有給を取得した日の時間外労働の取扱いは?

 午前中、半日単位の有給休暇を取得した後、
13時に出勤した人がいるとします。
終業時刻の18時を超えて仕事をした場合、
割増賃金を支払う義務はあるのでしょうか。

結論から言えば、実際に働いた時間が8時間を超えていない限り、
割増賃金を支払う義務はありません。

ただ、18時以降の勤務について、
何も支払わなくてよいということではありません。

1.25倍などの割増率をかける前の
時間単価分(1.00倍)の金額については
支払う必要があります。

また、実労働時間が1日8時間、
1週40時間の法定労働時間を超えた場合は、
その超えた時間について、割増賃金の支払い義務が発生します。

次の通達が参考になるかと存じます。

――――――――――――――――――――――――――
法第32条または第40条に定める労働時間は
実労働時間をいうものであり、
時間外労働について法第36条第1項に基づく協定
及び法第37条に基づく割増賃金の支払いを要するのは、
右の実労働時間を超えて労働させる場合に限るものである。

したがって、例えば労働者が遅刻をした場合
その時間だけ通常の終業時刻を繰り下げて労働させる場合には、
1日の実労働時間を通算して
法第32条または第40条に定める労働時間を超えないときは、
法第36条第1項に基づく協定
及び法第37条に基づく割増賃金支払いの必要はない。
(昭和29年12月1日基収第6143号、
 前掲基発第150号・婦発第47号、
 平成11年3月31日基発第168号)
――――――――――――――――――――――――――

上記の通達は遅刻について言及していますが、
法定労働時間を超えない原因が
欠勤や年次有給休暇であっても、
実際に労働に従事した時間が8時間を超えない限り、
割増賃金の支払い義務は生じません。

なお、就業規則で、
「18時以降の勤務については割増賃金を支払う」
等と記載されている場合は、
法を上回る措置を就業規則で定めていますので、
就業規則によることとなります。
ご注意ください。

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有給休暇を前倒し付与した場合、翌年度の付与はどうなるか?

4月1日に入社の社員がいます。
有給休暇の付与日や付与日数について、労働基準法通りに運用した場合、
入社日の6か月経過日である10月1日に10日の有給休暇が付与されます。

ところでこちらの会社では8月に夏季休暇を予定しています。

8月第2週の月曜日から水曜日までの3日間が夏季休暇。
さらに、木曜日と金曜日は有給休暇の計画的付与により、お休み。
土日の休みを挟んで連続9日間の夏休みを取る会社なのです。

そこで、10月1日に付与予定である10日のうち、
2日間を前倒しして付与することで、対応をしようとする場合、
いつの時点で何日の有給休暇を付与すればよいのでしょうか?

この事例のように、有給休暇の一部を前倒しして付与することを
「分割付与」と言います。

8月に2日間分割付与するのですから、
10月1日は残りの8日間を付与することになります。

これで話がおしまいであれば簡単なんですが、
この分割付与は翌年度以降にも影響を与えます。

仮に分割付与した日が8月15日だとすると、
翌年度以降は8月15日が有休付与の基準日となるのです。

なお、分割付与を実施する場合は、
次の要件を満たす必要があります。

1 年次有給休暇の付与要件である8割出勤の算定において、
  短縮された期間は全期間出勤したものとみなすこと。
2 次年度以降の年次有給休暇の付与日についても、
  初年度の付与日を法定の基準日から繰り上げた期間と同じ
  又はそれ以上の期間を法定の基準日より繰り上げること

これらを踏まえ、翌年度の基準日となる8月15日には
11日の有給休暇を付与することになります。

<翌年度の8月15日に2日間付与、
  10月1日に9日間付与という運用について>

複数の労働基準監督署、都道府県労働局などに確認を取りましたが、
この運用については否定的な見解が多数を占めています。

否定的な見解の考え方は次の通りです。

1 分割付与は初年度に限り認められたものであり、
  2年目以降に分割付与という概念はない。
2 あくまで基準日は最初に有給休暇を付与した日。
  初年度に何日付与したかということには関係なく、
  2年目の基準日には法で定めている有給休暇日数を
  丸ごと付与しなければならない。

中には上記の運用も望ましくはないが法違反ではない、
という見解を示す人もいました。
また、インターネットで検索すると、
平成6年5月31日付基発330号を根拠に挙げて
上記の運用で構わないとする見解もあります。

白黒がバシッとついているわけではないようですが、
「君子危うきに近寄らず」で、
2年目以降も分割して付与する考え方は避けた方が無難かと存じます。

<実務上の対応方法>

さて、このような運用が待っているとなると、
正直、有給休暇の管理が煩雑になるかと存じます。

そこで、実務上は次のような対応をしているケースが多いです。

1 上記の例で言う夏休みの「2日間」は
  労働基準法に定めている有給休暇の前倒しではなく、
  会社独自の有給休暇として付与する。
  →労基法上の有給休暇はあくまで10月1日に10日付与。

2 斉一的付与を活用する。
  (全員一律の有休付与日を設けます。
   ただし、付与日の設定に留意して、
   法の要件を下回らないようご注意ください。)

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退職直前の有休取得中に転職していることが発覚。有休を取り消せるか?

退職直前に、たまっていた有給休暇を取得している最中に、
他社に転職し働き始めている人がいることが発覚しました。

他社に就労を始めている人に対し、有給休暇を与え続けるのも釈然とせず、
有給休暇の使用を認めたくない、という会社からのご相談があったとします。

これは法的には問題ないでしょうか?

結論から申し上げると、有給休暇の使用は認めざるを得ません。

労働基準法に定める有給休暇制度の趣旨は、
休日の他に毎年一定日数の有給休暇を与えることで、
従業員の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図ることにあるのですが、
法律上は、有給休暇をどのような目的で利用するかについては、
特段の制限を設けておらず、従業員側の自由なのです。

考えられる対抗手段としては、(懲戒)解雇を検討するという方法があります。
就業規則に定めてある、懲戒解雇の事由の中に
 会社の許可なく在籍のまま兼業をした場合」
などという文言があれば、これを根拠に(懲戒)解雇をする道が開けます。

これで、「本日をもってあなたを(懲戒)解雇します。」
とすれば、従業員の有給休暇の消化を続けることができなくなります。

ただ、ここにも2つ問題が。

一つは、「(懲戒)解雇」の有効性です。
解雇をする場合や懲戒処分をする場合は、
労働契約法により下記の2点を満たすことが必要です。

★ 客観的に合理的な理由があること
★ 社会通念上相当であること

これを満たさない場合は、権利の濫用とされてしまいます。

就業規則に書いてあるからと言って、
必ずしも上記の2つの要件を満たすかどうかは別問題です。

従業員側が(懲戒)解雇をすんなりと受け入れてくれればよいのですが、
トラブルになると、正直、面倒を抱えることになることを覚悟しなければなりません。

2つ目の問題。これが意外に重要かもしれませんが、
即日解雇をする場合は、原則として30日分の解雇予告手当を支払う必要があります。

懲戒解雇の場合は、労働基準監督署に「解雇予告除外認定申請書」を提出して、
「解雇予告手当を支払わずに解雇していいですか?」とお伺いを立てることになりますが、
これが結構ハードルが高く、なかなか認めてもらえません。

例えば、有給休暇は残り10日分で終わるというときに、
30日分の解雇予告手当を支払うとなると、かえって会社の出費が増えることになります。
これでは本末転倒ですね。

ということで、法律の世界の中で何とかしようとしても、
有効な手段が見つけにくいのが実情です。

残りの手段は法律外の手段。
ご本人を呼び出すなどして、話し合いで退職日を早めてもらうよう交渉するくらいでしょうか。

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有給休暇を取得しなかった社員を賞与算定で優遇してもよいか?

多くの経営者にとって有給休暇の取得は残業代と並んで頭を悩ます問題です。

正直、できれば有給休暇なんて取得せずに、毎日会社に来て働いてほしい、
そう願っている経営者って多いのではないでしょうか。

そこで、ある会社で、有給休暇を取得しなかった社員については、
賞与額を上乗せすることにしました。

こうしたことは違法なんでしょうか?

結論から申し上げますと、有給休暇取得者に対する不利益取り扱いの禁止
(労働基準法附則第136条)に抵触することとなり、
裁判となっても民法上の公序良俗違反(民法第90条)となる可能性が濃厚ですので、
このような取り扱いは避けた方がよいです。

例えば、皆勤手当や賞与を支給する際に、
有給休暇を取得して休んだ日を働かなかった日として扱うなど、
有給休暇の取得を抑制することにつながるようなことは禁止されています。

労働基準法附則第136条において、
有給休暇を取得した従業員に対して賃金を減額する等、
不利益な取り扱いをすることが禁止されていることが背景にあります。

行政解釈においても、下記のような通達が出されています。

「賞与の額の算定等に際して、年次有給休暇を取得した日を欠勤として、
 または欠勤に準じて取り扱うこと、
 その他労働基準法上労働者の権利として認められている
 年次有給休暇の取得を抑制するすべての取扱はしないように」

ただ、実はこの規定については労働基準法上の罰則がついていません。
規程に違反しても、特段咎められない点が弱いところです。

こうした点について、裁判所は民法の公序良俗に違反するとして無効としています。

例えば下記の判例があります。

★ 年次有給休暇を取得して休んだ日があることを理由に、
   皆勤手当等の諸手当の全部または一部を支給しなかったのは
   労働者に対する不利益取り扱いであり、公序良俗違反により無効である。
   (昭和51年3月4日、横浜地裁 大瀬工業事件)

★ 年次有給休暇の取得日を府就労時間に含めて稼働率の計算をし、
   その稼働率が80%以下の者には昇給をさせないといった労働協約の条項は
   労働者に対する不利益取り扱いであり、公序良俗違反により無効である。
   (平成元年12月14日、最高裁第一小法廷 日本シェーリング事件)

こうした点を総合的に考えると、
有給休暇を取得しなかった社員を賞与算定で優遇するということは、
裏を返せば、有給休暇を取得した社員を賞与算定で冷遇するということであり、
有給休暇の不利益取り扱いとなるので、避けた方がよいでしょう。

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