就業規則の記載事項については、労働基準法で縛りがかけられています。
重要な労働条件についての記載が漏れていると、
就業規則としての体(てい)をなさなくなるからです。
就業規則に記載すべきことは次の3区分に分けられます。
1 絶対的必要記載事項
2 相対的必要記載事項
3 任意的記載事項
※ 記載事項の詳細については、
こちらをご覧ください。
任意的記載事項とは、
絶対的必要記載事項、相対的必要記載事項以外のもので、
会社が任意に就業規則に記載する事項のことですが、
具体的にはどんなものを指しているのでしょうか?
例1 就業規則にかける熱い情熱を前文として記載する
自社にとって、就業規則を作成することにどのような意味があるのか。
どのような目的で就業規則を作成することにしたのか。
就業規則を作成することで、会社はどうなっていくのか。
このような熱い思いを前文として記載する会社がございます。
この前文が任意的記載事項となります。
例2 企業理念や社是をドーンと掲載する
これも例1と似ておりますが、
企業理念や社是、行動指針を冒頭に記載し、
その流れを踏まえて、具体的な条が記載されていくという体裁の
就業規則を作成した場合、
この企業理念などは任意的記載事項となります。
例3 就業規則の条文解釈を就業規則中に記載する
実例は私も見たことがありませんが、
就業規則の各条文について、
具体的にはこのように解釈する、この言い回しはこういう意味だ、
というような文章を就業規則の欄外などに表記するなどした場合、
この解釈文章は任意的記載事項となります。
例4 適用に関する規程を記載する
例えば、この就業規則は誰に対して適用するかという条文や、
附則として記す施行年月日、改正施行年月日は
任意的記載事項となります。
<任意的記載事項の注意ポイント>
1 大半のルールは相対的記載事項です
服務規定や休職に関する規定等を
任意的記載事項と分類している方もいらっしゃいますが、
これらについては相対的記載事項の一つとして、
下記の記載があります。
★ 前各号に掲げるもののほか、
当該事業場の労働者のすべてに
適用される定めをする場合においては、これに関する事項
ということで、服務に関するルールも休職に関するルールも
相対的必要記載事項に該当します。
ただ、分類にこだわっても、実態は何も変わりません。
マニアックな話で恐縮です...。
2 企業理念も書き方によっては相対的記載事項になります
企業理念を掲げるだけなら任意的記載事項ですが、
「企業理念を守ること」とすれば、これはルールになりますので、
相対的必要記載事項となります。
ただ、これも分類上の話。実務上全く気にしなくてよいかと存じます。
3 法令違反や公序良俗違反の内容は記載してはいけません
当たり前のことと言えば当たり前ですが、念のため記載しておきます。
ちなみに「公序良俗」とは「公の秩序」「善良な風俗」の略称です。
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