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中野人事法務事務所中野 泰(なかの やすし)

ブログ記事一覧

光GENJIは労働基準法上の労働者か?

テレビ等に出演する子役、小学生等で構成された歌手グループって、
労働基準法に定められいる労働者なのでしょうか。

労働基準法で定義されている労働者に該当する場合、
当然ながら、労働基準法の様々な制約が使用者側(芸能プロダクション)に課せられます。

労働基準法では、大原則として、中学校を卒業する3月一杯までは労働者として使用してはいけないことを定めています。(第56条第1項)
ただし、児童の健康や福祉に有害でなく、かつその労働が軽易なものである場合は、
労働基準監督署の許可を受けて、満13歳以上の児童を修学時間外に使用することができます。
さらに、映画の製作や演劇の事業については、
満13歳に満たない児童についても、労働基準監督署の許可を得ることで、
修学時間外に使用することができることとなっています。(第56条第2項)

ということで、小学生以下の年齢の子役や歌手であっても
条件つきではありますが、労働基準法上に定める労働者として
働いてもらうことはできるのです。

この問題で一番イメージがわくのが、深夜労働じゃないでしょうか。

以前、「ザ・ベストテン」という久米宏さんと黒柳徹子さんが司会を務めた番組がありました。
夜9時からの生放送番組だったため、小学生等の歌手の場合は、
出演できない、と司会者が伝えていたような記憶があります。

こういった子役の場合、原則として夜8時(一定の条件を満たした場合は夜9時)
以降の労働は禁止されています。
これを根拠として、夜間の活動をしないことになっているのです。

そんな中、昭和63年7月30日基収355号で、次の要件を全て満たす場合は、
そもそも労働基準法上に定める労働者ではない、との通達が出ました。

1 当人の提供する歌唱、演技等が基本的に他人によって代替できず、
  芸術性、人気等当人の個性が重要な要素となっていること。
2 当人に対する報酬は、稼働時間に応じて定められるものではないこと。
3 リハーサル、出演時間等スケジュールの関係から時間が制約されることはあっても
  プロダクション等との関係では時間的に拘束されることはないこと。
4 契約形態が雇用契約ではないこと。

どうも、この通達が出されたきっかけが当時の人気アイドル「光GENJI」にあったようで、
この通達、俗に「芸能タレント通達」または「光GENJI通達」と呼ばれています。

この要件を満たす限り、労働基準法の制約の範囲外となります。
したがって、夜何時まででも芸能活動をしてよいことになります。

ただし、上記4点、個々の事例に当てはめて考えると、解釈に結構あいまいな点も多く、
実際はテレビ局や芸能プロダクション側の自主規制をしているようです。

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競輪の選手は労働基準法上の労働者!?

昭和20年代の前半、競輪選手が、競走中転倒し、
22名もの選手たちがいずれも全治1カ月程度の負傷を負った事件が起きました。
この負傷をきっかけに、「労災が適用されるのでは?」という話が持ち上がったそうです。
労災が適用されるには、そもそも競輪選手が
労基法上(=労災保険法上)の労働者に該当するかどうかが問題になります。

昭和25年4月24日、基収4080号の通達により、
競輪選手は労働者ではないとされました。

理由は次の通りです。

★自転車競走施行者は参加者に競争の場を提供するだけ。
  (自転車競走施行者と参加者の間に使用従属関係がない)
★参加者に支給される日当および宿泊料は実費弁償として支給されるものであり、
 労働力提供の対価としての賃金ではない。
★参加者に支給される賞金は、競争参加の目的物であり、
 こちらも労働力提供の対価としての賃金ではない。

競輪選手の大半は、おそらくは個人事業主と思われます。
個人事業主は労基法上の労働者ではありません。
それどころか、「事業主」とつくくらいですから、経営者なのです。

経営者ですから、原則としては通勤途中のけがや業務中のけがについて、
労災が下りるわけではありませんし、
有給休暇制度もなければ、最低賃金等の法律で守られる範囲外の人です。
残業という概念もなければ、残業手当もありません。

私もサラリーマン生活をやめて、数年間は個人事業主として生計を立てておりました。
最初は不安だらけだった様な気もしますが、
慣れてくると、不思議と気にならなくなりましたし、
むしろ、こちらの世界の方が自分には合っているなと思いました。

ただ、同じ個人事業主でも社労士と競輪選手では
仕事の内容や危険度、職業人としての寿命など、いろいろと異なります。
そのあたりの実態を競輪選手の人の聞ける機会がありましたら、
追加でご報告いたします。

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インターンシップは労働者?

先日、ある企業に伺ったところ、数名の学生さんが一生懸命働いていました。
てっきりアルバイトとして働いているのかと思ったところ、
「インターンシップ」として無給で働いているとこのこと。

ご本人たちは「普通のアルバイトではできない経験をさせてもらっている。
お金なんかいらないので、もっと学生のうちにいろいろ経験を積んでいきたい。」と語りました。

社長さんに聞いてみると、「知り合いの学生に声をかけたら、いつの間にかネットワークが広がった。
こちらも人件費がかからずに済むし、学生さんの経験を積みたいという気持ちも満たしているので、
Win-WInなんじゃないか。」とお話しています。

法的には大丈夫なんでしょうか?

平成9年9月18日基発636号によると、
原則としてインターンシップは労働者ではないとしながらも、
次の場合には労働者となるので注意を喚起しています。

★直接生産活動に従事する等、その作業による利益・効果が会社に帰属する。
★会社と学生との間に使用従属関係が認められる。

また、この件については商船大学等の実習生について
労働者性の有無の判断基準が記載されている
昭和57年2月19日基発121号も参照してほしいとあります。

こちらに記載されている判断基準の骨子は次のようなものです。
なお、実習は「インターンシップ」、
実習生は「インターンシップ生」と置き換えて表記しておきます。

★インターンシップは会社の従業員で、
  大学等から実習の指導を委嘱された者の指導の下に行われていること。
★インターンシップは、通常、現場実習を中心として行われており、
 その現場実習は、通常、一般労働者とは明確に区別された場所で行われ、
 あるいは見学により行われていること。
★生産ラインの中で行われている場合であっても
  軽度の補助的作業に従事する程度にとどまり、
  インターンシップ生が直接生産活動に従事することはないこと
★インターンシップ生の欠勤、遅刻、早退状況及び実習の履修状況は、
 通常、まず会社によって把握・管理されているが、
 工場実習規定等に定める所定の手続きを経て、
 最終的には大学等において把握・管理されていること。
★インターンシップ生の実習規律については、
 通常、会社の諸規則が準用されているが、
 それらに違反した場合にも、通常、会社としての制裁は課されないこと

なお、本日、東京労働局に確認したところ、
この商船大学に関する通達は、
インターンシップに大学が介在するケースの取り扱いを言っているものであり、
インターンシップを行う際、必ず大学が介在しなければならないということではありません。

したがって、大学が介在しないインターンシップであれば、
遅刻・早退・欠勤などについて大学等で把握・管理すること等の文言は
特に気にする必要はありません。

なお、インターンシップについては平成9年の通達を出す際に、
文部省、通商産業省、労働省が
『インターンシップの推進にあたっての基本的考え方』
という付属資料を発表しています。

結局、次の2点はしっかり押さえておく必要があります。

★仕事を体験させる場合はちょっとした軽作業に留めること
  (労働者としての労働力を期待しない。)
★使用従属関係を疑われるような言動を慎むこと

また、労働者ではないからこそ、賃金も支払わないわけですが、
となると、職場にいる間や通勤途中のケガに対して、労災も適用されなくなります。
(特に職場にいる最中に起きたケガが心配です。)
いざというときのために、民間の保険への加入等を検討することもご検討ください。

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海外派遣労働者に労働基準法は適用されるか?

海外において日本の建設業者により土木建築工事が施工される場合に、
派遣されて作業に従事する従業員に対して労働基準法は適用されるのでしょうか?

これについては次のように考えます。

1 日本国内の土木建築事業が国外で作業を行う場合で、
  その作業場が一つの独立した事業と認められない場合には、
  現地における作業も含めてその事業に労働基準法は適用されます。

2 労働基準法違反行為が国外で行われた場合には、
  刑法総則の定めるところにより罰則は適用されません。
  ただし、日本の国内にある使用者に責任がある場合にはこの使用者は処罰されます。

3 前記「2」に述べたように使用者が国外で労働基準法違反行為をしても
  罰則の適用はありません。
  ただし、その場合でも従業員は使用者の民事上の責任を追及することができます。
(以上、昭和25年8月24日 基発776号より)

この行政解釈を基礎とすると、海外支店や現地法人など外国にある事業場には、
労働基準法は適用されないことになります。
これに対して海外出張の場合には、その従業員の国内の事業に所属するものといえることから、
労働基準法が適用されることになります。

それでは、労働契約や民法などについてはいかがでしょうか。

これらの領域については、労働契約にどの国の法を適用すべきかという準拠法の問題が生じます。
これについては現在、法の適用に関する通則法が規定しています。

労働契約においても、どの国の法を適用すべきかについて
契約当事者の選択は認められます(通則法7条)。

ただし、当事者が適用する国の法の選択を行った場合であっても、
従業員がその労働契約に最も密接な関係がある地の法
(原則として、労務提供地の法がこれにあたると推定されます。通則法12条2項)
における特定の強行規定を適用すべき旨の意思を会社に対して伝えたときには、
強行規定の定める事項については、その強行規定も適用されます(通則法12条1項)。

当事者が法選択を行わない場合には、
その労働契約において労務を提供すべき地の法が、
その労働契約に最も密接な関係がある地の法と推定され、適用されます。
(通則法8条、通則法12条3項)

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試用期間を延長することはできるか?

就業規則で試用期間を3ヶ月に定めている会社があります。
場合によっては試用期間を延長することがあることも記載されていますが、
ある社員について3ヶ月だけでは見極めがつけられず、
もう3か月延長したいと考えています。

こうした試用期間の延長は法的には問題ないのでしょうか?

まず、試用期間の長さについては、
長ければ長くなるほど、解雇権が留保されるなど
従業員にとっては不安定な地位に置かれることになります。

したがって、試用期間の長さはその目的に照らして合理的なものでなければなりません。

具体的に試用期間の長さを規定している法律はありませんが、
不必要に長い場合には、
「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。」
という民法90条違反に問われることになります。

ただ、6ヶ月までならほぼ確実に問題なく、
1年を超えると「不必要に長い」とされかねないというのが、
私の経験則です。

判例を見ると、試用期間の更新を認めなかった裁判例が数多くあります。
(例:昭和31年1月21日、大阪地裁、電電公社大阪地区電話局事件)

一方、試用期間の更新を認めた裁判例もあります。

ただ、この裁判例の場合、
本来、解雇理由がある人だったのですが、
従業員側の利益のため解雇を猶予する措置として
試用期間を延長したという特殊事情がありました。

試用期間の延長がなければ解雇となるケースだったことから、
試用期間の延長が一概に従業員に不利であるとは言えず、
裁判所でもやむを得ないとして、更新を認めました。
(昭和42年1月27日、大阪地裁、大阪読売新聞社事件)

いずれにしても、裁判等になると、
たとえ就業規則等で試用期間の延長ができる旨が記載されていても、
試用期間中に適格性を判断できない特別な事情がない限り、
試用期間の延長は難しいと考えた方が無難です。

もし、試用期間の延長をする場合は、
労働条件の(不利益)変更にもなりますので、
トラブルにならないよう、本人の同意を得てください。

また、私の場合は、お客様に対して試用期間を6ヶ月にすることをお勧めしております。
6ヶ月なら公序良俗には反しませんし、
労働基準監督署からも指導を受けたことなどありません。

心の中では3ヶ月の試用期間であると思っておけば、
3ヶ月で見極めがついた人は
「本来試用期間は6ヶ月だけど、
 あなたは4ヶ月目から正社員として雇用しますね。」と言えば、
本人は嬉しく思うでしょう。

また、3ヶ月で見極めがつかない人は、
何の手続きもせずにあと3ヶ月見極められるのですから、
延長するための同意を得る作業が不要です。
本人とのトラブルを回避することにもつながります。

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