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中野人事法務事務所中野 泰(なかの やすし)
ブログ記事一覧
例えば、年俸700万円の非管理職の人(=残業手当の支払い対象者)がいて、
A社では年俸を次のように配分しているとします。
毎月の給与:月額50万円(50万円×12ヶ月=600万円)
夏季賞与:50万円
冬季賞与:50万円
要は、年俸を14で割り、月額の給与は年俸の14分の1ずつ支給し、
残った14分の2を夏・冬の賞与として14分の1ずつ支給するということです。
このようにした場合、普通、月額50万円から残業単価をはじき出すのでは、と思いがちですが、
そうではありません。
今回の例のように、最初から賞与の額が確定している場合は、
賞与の額も含めて、「年俸700万円÷12=583,333円」から
残業単価を出すことになっているのです。
仮に1か月の所定労働時間が173.5時間だとすると、残業単価は次の通りとなります。
月額500,000円の場合:500,000円÷173.5時間=2,882円
月額583,333円の場合:583,333円÷173.5時間=3,362円
その差ナント480円。これに1.25倍したり残業時間をかけたりしたら、相当な差になります。
一方、年俸600万円、その他業績賞与あり」等として、賞与の額を確定させなければ、
賞与の額を残業単価に組み入れる必要はなくなります。
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法内残業と三六協定の締結の必要性について
ある企業では、就業規則に実労働時間を1週38時間と定めています。
こちらの企業では原則として残業や休日出勤は発生しないものの、
1週38時間を超えて、法定労働時間(40時間)まで労働時間を延長することがあるそうです。
この場合、三六協定の締結の必要はあるのでしょうか?
結論から申し上げると、各日の労働時間が8時間を超えない限り、締結の必要はありません。
三六協定書は法定労働時間を超えて働いてもらう場合や、
休日に働いてもらう場合に締結するものであり、
休日に働いてもらうことがなく、残業といっても法定労働時間以内に収まるのであれば、
締結の必要はありません。
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休日は暦日を指している?連続24時間あればよい?
休日は何時から何時までなのか、という点に関する原則と例外を解説します。
<原 則>
休日とは暦日を指し、午前0時から午後12時までの休業のことです。
(昭和23年4月5日 基発535号)
<例外1> ~交代制~
番方編成(「早番、中番、遅番」等)による交代制における「休日」については、
下記の双方に該当する場合に限り、継続24時間を与えれば差支えありません。
1 番方編成による交代制によることが就業規則等により定められており、
制度として運用されていること
2 各番方の交代が規則的に差sダメられているものであり、
シフト表等によりその都度設定されるものではないこと
逆に言えば、上記2点の片方しか条件を満たさない場合や、
双方の条件ともに満たさない場合は、
番方編成による交代制であっても、原則通り、暦日で休日を捉えます。
<例外2> ~旅館業~
旅館業に勤めるフロント係、調理係、仲番、客室係の従業員を対象者とし、
次のすべての要件を満たすと、二暦日にまたがる休日を認めることとしています。
1 正午から翌日の正午までの24時間を含む継続30時間の休息期間が確保されていること
ただし、この休息期間は、当分の間に限り、正午から翌日正午までの24時間を含む
継続27時間以上であっても差し支えありません。
2 休日を二暦日にまたがる休日という形で与えることがある旨
及びその時間帯があらかじめ従業員に明示されていること
また、次の3点について守られていない場合は、行政指導の対象となります。
1 各従業員の1年間における法定休日数のうち、少なくとも2分の1は暦日によって与えること
2 休日は前月末までにシフト表などにより具体的な期日、
二暦日にまたがる休日という形によって与えるかどうか等を明らかにして
従業員に通知するものとし、
これを変更する場合には遅くとも前日までに従業員に通知すること
3 各従業員について、1年間に法定充実数を含め60日以上の休日を確保すること
(昭和57年6月30日基発446号)
(昭和63年3月14日基発150号)
(平成11年3月31日基発168号)
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休憩時間中に全員でラジオ体操。これは労働時間?
お昼の休憩が12時から1時間ある会社。
昼食と言っても1時間丸々かかるわけではないので、
1時の業務再開5分前に、みんなでラジオ体操をしてから仕事をしようじゃないかと、
社長さんが言い出しました。
このラジオ体操は休憩の一環であり、労働時間としてカウントしなくて大丈夫でしょうか?
やりたい人だけがやるのならいいのですが、強制してしまうと労働時間となります。
休憩には
①勤務時間の途中に
②一斉に与え
③自由利用させなければならない
という、三原則があります。(労働基準法第34条)
今回の事例では③の「自由利用」に抵触してしまうのです。
労働基準法第34条に「自由利用」を謳った経緯が面白いですよ。
戦時中の就業規則には、休憩時間中に会社が定めるところに従い、
体操を行うべき旨を規定するものが多かったという事情があったそうです。
それでは従業員の疲労を回復させることにはならず、
従業員を自由に休息させることが最も適当だと考え、
「自由利用」の規定が置かれたのだそうです。
社長さんからすれば「みんなの健康のために」「みんなの疲労回復のために」と
よかれと思ってのことなのでしょうが、
従業員にはその思いは届かず、法も禁止しているのです。
仮にこの会社が実働8時間の会社ですと、
休憩時間が5分短くなり、その5分が労働時間に回りましたので、
実働8時間5分となります。
こうなると、5分の時間外労働に対する残業手当の支払という問題も生じます。
よかれと思っていることが受け入れられないばかりか、残業手当まで支払うのか...。
社長さんにとっては厳しい話ですね。
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お昼休み中、お弁当を食べている社員に電話番をさせてもよいか?
労働基準法では休憩について、次のように定められています。
「使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、
8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を
労働時間の途中に与えなければならない。」
所定労働時間が8時間の場合、間違いなく残業がない場合は、45分の休憩でいいのですが、
通常の会社は残業が発生する可能性(=労働時間が8時間を超える可能性)を考慮し、
1時間の休憩を与えているケースが大半です。
さて、この休憩時間、よくありがちなのは12時から13時までの1時間に設定するというパターンです。
昼食時に合わせて休憩時間を設定しているわけです。。
全員が外食に行くと、会社に誰もいなくなってしまいます。
でも、もしかしたらお客様や取引先からお電話があるかもしれません。
ということで、誰かに電話番をお願いすることになります。
お弁当を持ってきているスタッフに、
「もし電話が鳴ったら出てくれる?」と指示を出して食事に行く社長。
この場合、電話番をしながらお弁当を食べるスタッフは休憩を取ったことになるのでしょうか。
答えは「休憩を取ったことにはなりません」。
労働基準法によると、休憩時間は従業員の事由に利用させないといけないことになっています。
電話が鳴ろうが鳴るまいが、電話番をしている以上、
このスタッフは外出ができなくなってしまいます。
これでは休憩時間を自由に利用させているとは言えなくなるんですね。
この場合、休憩ではなく、労働時間としてとらえることになります。
私のお客様の会社の中には
お昼休み中の電話番を(労働基準法上の)管理職が担当することにしている会社があります。
管理職は休憩の条文が適用されないからです。
その他、休憩を交代で取らせている会社もあります。
会社によっては留守電に切り替えるところもあるようです。
皆様の会社では、何か工夫をされていますか?
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8時間勤務なら休憩時間は45分でよいか?
労働基準法第34条には休憩時間について次のように定めています。
1 6時間を超える場合は最低45分の休憩を与えること
2 8時間を超える場合は最低1時間の休憩を与えること
「超える」というのは法律用語でして、その直前に記載されている数字を含みません。
したがって、6時間ピッタリで業務が終了する場合は、
6時間を超えていないので、休憩を与える義務はありません。
同様に、8時間ピッタリで業務が終了する場合は、
8時間を超えていないので、休憩は45分でよいのです。
ただ、ここで問題が。
所定労働時間が8時間の従業員に対して、15分の残業を命じたとします。
こうなると、この日の従業員は8時間15分働きますから、
8時間を超えてしまうのです。
したがって、この日は1時間の休憩を取らせなければなりません。
残業がある日は1時間、残業がない日は45分の休憩を与えればよいのですが、
正直、面倒です。
そんなことから、ほとんどの会社では1時間の休憩を与えることで、
残業が発生しても休憩時間で労働基準法違反とならないよう、配慮しています。
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企画業務型裁量労働制導入に際しての労使委員会での決議事項は?
企画業務型裁量労働制導入に際しての労使委員会での決議事項は以下の通りです。
1 対象となる業務の具体的な範囲
対象業務については具体的な範囲を労使委員会で決議しなければなりません。
(例:本社において企業全体の経営状態・経営環境等について調査及び分析を行い、
経営に関する計画を策定する業務)
その要件として、以下の4つがあります。
1 業務が所属する事業場の事業の運営に関するものであること
例えば、対象事業場の属する企業等に係る事業の運営に影響を及ぼすもの、
事業場独自の事業戦略に関するものなど、
対象業務の該当性の有無(○×)は次の通りです。
例1 本社で企業全体の事業戦略の策定を行っている →○
例2 本社で個別の営業活動を行っている →×
例3 事業本部で特定の製品についての企業全体の事業戦略の策定を行っている →○
例4 関東支社で関東支社および関東地域の各支社を統括した事業戦略の策定を行っている →○
例5 茨城支店で個別の営業活動を行っている →×
例6 千葉支店のみの事業戦略の策定を行っている →○
例7 埼玉工場で特定の製品についての海外における事業戦略の策定を行っている →○
例8 埼玉工場で個別の製造作業やその工程管理を行っている →×
2 企画、立案、調査及び分析の業務であること
3 業務遂行の方法を大幅に従業員の裁量にゆだねる必要があると、
「業務の性質に照らして客観的に判断される」業務であること
「業務の性質に照らして客観的に判断される」業務であること
4 企画・立案・調査・分析という相互に関連しあう作業を、
いつ、どのように行うか等についての
広範な裁量が従業員に認められている業務であることいつ、どのように行うか等についての
以上の要件のすべてを満たした業務が対象業務となります。
したがって、一定の職務経験年数以上で職能資格が一定以上の
従業員全てが該当するわけではありません。
なお、対象業務となりえる業務やなりえない業務の例については、
こちらのサイトをご覧ください。
2 対象従業員の具体的な範囲
対象従業員は、「対象業務に状態として従事していることが原則」です。
また、客観的にみて、「対象業務を適切に遂行するための知識、経験等」がない従業員、
例えば4年制大学を卒業した新卒で職務経験がない従業員は、対象従業員と決議しても、
企画業務型裁量労働制の効果は生じません。
こうした従業員は、少なくとも3~5年の職務経験を経た上で、
初めて「対象業務を適切に遂行するための知識・経験等」がある従業員として
認められることになります。
この辺り、実際は新卒でもまれに「学生起業」等の経験があり、
ちょっとした中堅社員よりよっぽど見識等があるケースもありますが、
いかんせん、役所の判断基準ですので、認められずらいかと存じます。
3 労働したものとみなす時間
労働したものとみなす時間は、労働時間として算定される時間です。
その際、1週間単位や1ヶ月単位の時間を決議することはできません。
実際のみなし労働時間の決め方については、
法令で「このような水準で決めるべき」という規定は盛り込まれていませんが、
割増賃金節約だけのために短めのみなし労働時間を定めることは、制度の趣旨に反しています。
このため、決議する際に、労使委員会の委員は、
会社側から評価制度・賃金制度に関する説明を十分に受けて、
対象業務の内容を理解した上で、
みなし労働時間が適切な水準のものとなるよう決議するように注意してください。
4 健康・福祉の確保措置の具体的内容
会社は、対象労働者の健康及び福祉を確保するため、
下記の2点について決議する必要があります。
申し出の窓口、取り扱う苦情の範囲等、措置の具体的内容を
1 対象従業員の勤務状況を把握する方法を具体的に定めること
2 把握した勤務状況に応じ、どういう状況の対象従業員に対し、
いかなる健康・福祉確保措置をどのように講ずるかを明確にすること
勤務状況の把握方法については、
通常の労働時間管理と同様の管理までは求められていませんが、
出退勤時刻のチェック等によって、
従業員がいかなる時間帯にどの程度の時間在社していたのかの
状況を把握する方法で明確に定めることが必要です。
<健康・福祉確保措置の例>
1 把握した対象従業員の勤務状況及びその健康状態に応じて、
代償休日または特別な休暇を付与すること
2 把握した対象従業員の勤務状況及びその健康状態に応じて、
健康診断を実施すること
3 働き過ぎ防止の観点から、年次有給休暇について
まとまった日数連続して取得することを含めてその取得を促進すること
4 心と体の健康問題についての相談窓口を設置すること
5 働きすぎによる健康障害防止の観点から、
必要に応じて、産業医等による助言・指導を受け、
または対象従業員に産業医等による保健指導を受けさせること
6 把握した対象従業員の勤務状況及びその健康状態に配慮し、
必要な場合には適切な部署に配置転換をすること
また、上記と合わせて次の事項についても決議することが望まれます。
1 会社が対象となる従業員の勤務状況を把握する際、併せて健康状況を把握すること
2 会社が把握した対象従業員の勤務状況及びその健康状態に応じて、
対象従業員への企画業務型裁量労働制の適用について必要な見直しを行うこと
3 会社が対象となる従業員の自己啓発のための特別の休暇の付与等
能力開発を促進する措置を講ずること
5 従業員からの苦情処理のため実施する措置の具体的内容
決議で定めることが求められています。
具体的には、企画業務型裁量労働制に関しては、業績評価制度や目標管理制度、
これに基づく報酬制度などが導入されている場合には、
評価制度や報酬制度に付随する苦情が多く寄せられることが予想されます。
そこで、これらに関する苦情についても、
苦情処理の対象に含めるように措置することが適当であると
行政では指導をしています。
既に企業内に苦情処理システムをお持ちの企業については、
例えば、そのようなシステムで企画業務型裁量労働制に関する苦情処理を
合わせて行うことを対象従業員に周知するというように、
実態に応じて機能するよう配慮することが求められます。
6 本制度の運用について従業員本人の同意を得なければならないこと及び
不同意の従業員に対し不利益取り扱いをしてはならないこと
次の事項についても決議することが望まれます。
1 企画業務型裁量労働制の概要、企画業務型裁量労働制の適用を
受けることに同意した場合に適用される評価制度及びこれに対応する賃金制度の内容
並びに同意しなかった場合の配置及び処遇について、
会社が従業員に明示してその従業員の同意を得ることとすること
2 企画業務型裁量労働制の適用を受けることについての従業員の同意の手続き
(書面によること等)
3 対象となる従業員から同意を撤回することを認めることとする場合には、その要件及び手続き
7 決議の有効期間
3年以内とすることが望ましいとされています。
また、委員の半数以上から決議の変更等のための労使委員会の開催の申し出があった場合は、
決議の有効期間の中途であっても決議の変更等のための
調査審議を行うものとすることとされています。
8 企画業務型裁量労働制の実施状況にかかる従業員ごとの記録を保存すること
決議の有効期間中及びその満了後3年間が保存期間です。
なお、以上挙げた8項目以外にも、会社が対象となる従業員に適用される
評価制度及びこれに対応する賃金制度を変更しようとする場合にあっては、
労使委員会に対し事前に変更内容の説明をするものとすることを盛り込むよう、
行政は指導しています。
※ 企画業務型裁量労働制の概要をご覧になりたい方はこちらのサイトをクリックしてください。
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企画業務型裁量労働制の対象業務となる事例、ならない事例
企画業務型裁量労働制の対象業務となる事例、ならない事例は次の通りです。
<経営企画 対象業務となりえる業務例>
★ 経営状態・経営環境等について調査及び分析を行いあ、経営に関する計画を策定する業務
★ 現行の社内組織の問題点やその在り方について調査及び分析を行い、
新たな社内組織を編成する業務
<経営企画 対象業務となりえない業務例>
★ 経営に関する会議の庶務等の業務
<人事労務 対象業務となりえる業務例>
★ 現行の人事制度の問題点やそのあり方等について調査及び分析を行い、
新たな人事制度を策定する業務
★ 業務の内容やその遂行のために必要とされる能力等について調査及び分析を行い、
社員の教育・研修計画を策定する業務<人事労務 対象業務となりえない業務例>
<財務・経理 対象業務となりえる業務例>
<財務・経理 対象業務となりえない業務例>
<広報 対象業務となりえない業務例>
★ 金銭の出納、財務諸表・会計帳簿の作成及び保管、租税の申告及び納付、
予算・決算にかかる計算等の業務<広報 対象業務となりえる業務例>
★ 効果的な広報手法等について調査及び分析を行い、広報を企画・立案する業務
★ 広報誌の原稿の校正等の業務
<営業企画 対象業務となりえる業務例>
★ 営業成績や営業活動上の問題点等について調査及び分析を行い、
企業全体の営業方針や取り扱う商品ごとの全社的な営業に関する計画を策定する業務
★ 個別の営業活動の業務
<生産企画 対象業務となりえる業務例>
★ 生産効率や原材料にかかる市場の動向等について調査及び分析を行い、
原材料の調達計画も含めて全社的な生産計画を策定する業務★ 個別の製造等の作業、物品の買い付け等の業務
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労使委員会と既存の労働組合との関係について
労働組合固有の団体交渉権は、労使委員会が設置されても特段の影響はありません。
会社は、両者の関係を明確にするため、
労使委員会を設置する際には、労働組合と事前に協議を行い、
労使委員会が調査審議する事項の範囲を
労使委員会の運営規定で定めておくことが適当とされています。
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労使委員会で決議できる事項
労使委員会では、次の表にある労使協定について
それぞれ5分の4以上の多数による決議により
代替することができます。
<決議等の届け出が不要なもの>
1 1週間単位の非定型的労働時間制
2 1ヶ月単位の変形労働時間制
3 1年単位の変形労働時間制
4 フレックスタイム制
5 一斉休憩の適用除外
6 事業場外のみなし労働時間制
7 専門業務型裁量労働制
8 年次有給休暇の計画的付与
9 年次有給休暇中の賃金の支払い方法
<決議等の届け出が必要なもの>
1 三六協定(時間外・休日労働に関する協定)
<労使委員会での決議が必要で、決議等の届け出が必要なもの>
(労使協定では導入ができないもの)
1 企画業務型裁量労働制
企画業務型裁量労働制について
『企画業務型裁量労働制に関する決議届』(様式第13号の2)で
労働基準監督署長へ届出が必要です。
『企画業務型裁量労働制に関する決議届』(様式第13号の2)のひな形
三六協定について
『時間外労働・休日労働に関する労使委員会の決議届』(様式第9号の3)で
労働基準監督署長へ届出が必要です。
ただし、事業場外労働に関する協定が締結されている場合は、
時間外・休日労働については様式第9号の3、
事業場外労働については『事業場外労働に関する協定届』(様式第12号)で
それぞれ届け出が必要です。
『時間外労働・休日労働に関する労使委員会の決議届』(様式第9号の3)のひな形
『事業場外労働に関する協定届』(様式第12号)のひな形
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労使委員会の設置の手順は?
労使委員会の設置の手順は以下の通りです。
1 設置にあたって必要な事項について、労使で話し合う
<過半数労働組合がある場合>
会社側と労働組合で、労使委員会の日程、手順、
会社による一定の便宜の供与がなされる場合にあっては
そのあり方等について十分に話し合い、定めておくことが望ましいです。
<事業場の従業員の過半数で組織する労働組合が存在しない場合>
労使委員会の設置について、会社の申し入れを受け、または会社に対して申し入れを行う際には、
従業員は、必要に応じ、過半数代表者を選任して対処することになります。
過半数代表者は、管理監督者以外の人の中から、民主的な手続きによる選出方法で選びます。
(例:挙手、投票など)
過半数代表者は、会社と労使委員会の設置の時期の目標、設置に至る日程、
労使委員会の委員数等を話し合います。
2 労使各側を代表する委員を選ぶ
労使委員会は、従業員を代表する委員と会社を代表する委員で構成されています。
人数については、特に基準はありませんが、
従業員側委員は半数以上を占めていなければなりません。
ただし、労使各1名の2名からなるものは「労使委員会」として認められません。
会社側の代表委員は、会社側の指名により選出してください。
労働組合は、従業員側の代表委員を任期を定めて指名してください。
過半数代表者は、労使委員会の設置準備段階での取り決めに従い、
従業員側の代表委員を管理監督者以外の人の中から任期を定めて指名してください。
この場合、指名される人から事前の同意を得てください。
なお、対象事業場の労使委員会の委員として、
その事業場に属さない人を指名しても差し支えありません。
3 運営のルールを定める
労使委員会の同意を得て、運営規程を策定してください。
運営規定には、以下の項目についての定めが必要です。
1 労使委員会の招集に関する事項
1 定例として予定されている委員会の開催に関すること
2 必要に応じて開催される委員会の開催に関すること
2 労使委員会の定足数に関する事項
1 全委員に関する定足数
2 労使各側を代表する委員ごとに一定の割合または一定数以上の出席を必要とすること
3 議事に関する事項
1 議長の選出に関すること
2 決議の方法に関すること
4 その他労使委員会の運営について必要な事項
1 会社が労使委員会に対して開示すべき情報の範囲、開示手続き、
開示が行われる労使委員会の開催時期
2 労働組合や労働条件に関する事項を調査審議する労使協議機関がある場合には、
それらと協議の上、労使委員会の調査審議事項の範囲についての定め
5 労使委員会が労使協定に代えて決議を行うことができる規定の範囲についての定め
※ 企画業務型裁量労働制の概要をご覧になりたい方はこちらのサイトをクリックしてください。
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企画業務型裁量労働制の概要は?
【企画業務型裁量労働制とは?】
対象業務に、その業務を適切に遂行するための知識や経験等を
持っている従業員を就かせた場合に適用できるみなし労働時間制度です。
の場合、労使委員会であらかじめ決議した時間働いたものとみなすことが出来ます。
「対象業務」とは次の全ての要件を満たす業務です。
1 事業運営上の重要な決定が行われる事業場で行われる業務であること
2 事業の運営に関する企画・立案・調査・分析の業務であること
3 業務の性質上、その遂行方法を大幅に従業員の裁量に委ねる必要があり、
その業務の遂行の手段、時間配分の決定等に関し、
会社が具体的指示をしない業務であること
広い意味では裁量労働制ですので、
1日当たりの時間数働いたものとみなすという意味で、
専門業務型裁量労働制と同様の効果を生じさせますが、対象となる業務や、導入手順などが異なりますので、注意が必要です。
【対象業務が存在する事業場とは?】
対象業務については具体的な範囲を労使委員会で決議しなければなりません。
(例:本社において企業全体の経営状態・経営環境等について調査及び分析を行い、
経営に関する計画を策定する業務)
その要件として、以下の4つがあります。
1 業務が所属する事業場の事業の運営に関するものであること
例えば、対象事業場の属する企業等に係る事業の運営に影響を及ぼすもの、
事業場独自の事業戦略に関するものなど、
対象業務の該当性の有無(○×)は次の通りです。
例1 本社で企業全体の事業戦略の策定を行っている →○
例2 本社で個別の営業活動を行っている →×
例3 事業本部で特定の製品についての企業全体の事業戦略の策定を行っている →○
例4 関東支社で関東支社および関東地域の各支社を統括した事業戦略の策定を行っている →○
例5 茨城支店で個別の営業活動を行っている →×
例6 千葉支店のみの事業戦略の策定を行っている →○
例7 埼玉工場で特定の製品についての海外における事業戦略の策定を行っている →○
例8 埼玉工場で個別の製造作業やその工程管理を行っている →×
2 企画、立案、調査及び分析の業務であること
3 業務遂行の方法を大幅に従業員の裁量にゆだねる必要があると、
「業務の性質に照らして客観的に判断される」業務であること
「業務の性質に照らして客観的に判断される」業務であること
4 企画・立案・調査・分析という相互に関連しあう作業を、
いつ、どのように行うか等についての
広範な裁量が従業員に認められている業務であることいつ、どのように行うか等についての
以上の要件のすべてを満たした業務が対象業務となります。
したがって、一定の職務経験年数以上で職能資格が一定以上の
従業員全てが該当するわけではありません。
なお、対象業務となりえる業務やなりえない業務の例については、
こちらのサイトをご覧ください。
【労使委員会の設置】
企画業務型裁量労働制を導入する際は、対象となる事業場において労使委員会を設置し、
その委員会の委員の5分の4以上の多数による決議で、必要な事項を決議する必要があります。
労使委員会とは、賃金、労働時間その他の労働条件に関する事項を調査審議し、
会社に対して意見を述べ、会社及びその事業場の従業員を代表する者が
構成員となっている委員会です。
労使委員会の設置の手順はこちらのサイトをご覧ください。
労使協定に代えて労使委員会で決議できる事項については、こちらのサイトをご覧ください。
労使委員会と既存の労働組合との関係については、こちらのサイトをご覧ください。
【労使委員会で決議する】
労使委員会では、会議に出席している委員の5分の4以上の多数決により、
8項目について決議する必要があります。
決議及び議事録(開催の都度作成する必要があります)は3年間
(決議を行った委員会にかかるものは、決議の有効期間の満了後3年間)保存し、
作業場への掲示等により従業員に周知しなければいけません。
適切な決議がなされるためには、各委員が決議にあたって必要な情報を
十分把握していることが必要です。
そのため、会社は対象従業員の評価制度や賃金制度等の情報を
労使委員会に対し開示することが適当です。
【労使委員会での決議事項】
企画業務型裁量労働制を導入するに当たり、
労使委員会で決議しなければならない事項が8項目あります。
(詳細はこちらのサイトをご覧ください。)
1 対象となる業務の具体的な範囲
2 対象従業員の具体的な範囲
3 労働したものとみなす時間
4 健康・福祉の確保措置の具体的内容
5 従業員からの苦情処理のため実施する措置の具体的内容
6 本制度の運用について従業員本人の同意を得なければならないこと及び
不同意の従業員に対し不利益取り扱いをしてはならないこと
7 決議の有効期間
8 企画業務型裁量労働制の実施状況にかかる従業員ごとの記録を保存すること
なお、以上挙げた8項目以外にも、会社が対象となる従業員に適用される
評価制度及びこれに対応する賃金制度を変更しようとする場合にあっては、
労使委員会に対し事前に変更内容の説明をするものとすることを盛り込むよう、
行政は指導しています。
【決議の届け出】
労使委員会で決議したことを、所定様式により労働基準監督署に届け出ます。
会社が決議を届けなければ、本制度の効果(労働時間のみなし効果)は生じません。
【対象従業員の同意を得る】
対象従業員に本制度を適用するには、決議に従い、
対象となる従業員の個人の同意を得なければなりません。
また、不同意の従業員に対して、会社は、解雇その他不利益な取り扱いをしてはいけません。
なお、就業規則による包括的な同意は、個別の同意には当たりません。
ご注意ください。
【制度を実施する上での注意点は?】
1 対象従業員を対象業務に就かせ、本制度を実施することにより、
対象従業員については「実際の労働時間と関係なく、
決議で定めた時間労働したものとみなす」効果が発生します。
このみなしの効果は、年少者及び女性の労働時間に関する法の規定にかかる
労働時間の算定については適用されません。
2 企画業務型裁量労働制の対象従業員も、
休憩、法定休日に関する規程や深夜業の割増賃金の規程は原則通り適用されます。
すなわち、法定休日や深夜に労働させた場合には、
みなし労働時間にかかわらず、実際に働いた時間分の割増賃金を支給する必要があります。
3 決議に定めた範囲以外の業務・従業員に本制度を適用しても効力は発生しません。
4 会社は、健康及び福祉を確保するための措置や苦情の処理のための措置等の決議で
定めた措置を実施しなければなりません。
5 会社は、決議が行われた日から起算して6ヶ月以内ごとに1回、
所定様式により所轄労働基準監督署長へ定期報告を行うことが必要です。
報告する事項は次の通りです。
1 対象となる従業員の労働時間の状況
2 対象となる従業員の健康及び福祉を確保する措置の実施状況
6 画業務型裁量労働制の導入の際には就業規則の所要の改定が必要です。
【決議の有効期間】
決議の有効期間は3年以内とすることが適当です。
有効期間が満了して企画業務型裁量労働制を継続する場合には、
再び「労使委員会で決議する」に挙げた8項目について決議し、
その上で決議に従い、改めて対象となる従業員の個人の同意を得なければなりません。
【時間外労働】
みなし労働時間が法定労働時間を超える場合は時間外労働になりますので、
三六競艇を締結し、届け出た上で、法定労働時間を超えた部分の時間に対しては
2割5分増以上の割増賃金を支払わなければなりません。
【休日労働】
みなし労働時間制が適用になる場合でも、法定休日の規程は適用されますので、
三六協定を締結し、届け出た上で、法定休日に労働した場兄は実際の労働時間に応じた3割5分増以上の割増賃金を支払わなければなりません。
【深夜労働】
午後10時から午前5時までの深夜に労働させた場合には、
深夜労働の時間に応じた割増賃金分(2割5分以上)を支払わなければなりません。
【休憩時間】
みなし労働時間が6時間を超え8時間までであれば45分以上、
8時間を超える場合には1時間以上の休憩時間を与えなければなりません。
【就業規則】
常時10人以上の従業員を使用する事業場において裁量労働制を適用する場合においては、
就業規則における始業・終業時刻の例外であること等により、
就業規則においても、始業・終業時刻、時間外労働、休日労働、深夜労働、休憩時間等について
定めた上で、従業員に周知して所轄労働基準監督署に届け出る必要があります。
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「うちの会社は裁量労働制だから」ってホント?
社長さんとお話ししてますと、時々、
「うちは裁量労働制でやっているから」とおっしゃる方がいます。
しかも対象者はどうやら全社員らしい。
こういう会社は大半、
「法的には認めていない独自の裁量労働制」を適用しています。
裁量労働制は、「専門業務型」と「企画業務型」があります。
簡単に言えば、専門業務型は職種に縛りがありまして、
全ての職種で認められている裁量労働制ではありません。
企画業務型は全社もしくは各部門の戦略立案を担当しているような人が対象で、
ルーチンワークをメインにしている人は除外されます。
例えば、給与計算等のルーチンワークをメインにしている人の場合、
給与計算業務は、専門業務型の裁量労働制に該当する職種ではありませんし、
ルーチンワークがメインですので、企画業務型の裁量労働制に該当する人でもありません。
また、裁量労働制を導入するには労働基準監督署に届け出を出す書類もあります。
こうした会社さんの場合、社長さんがおっしゃる「裁量労働制」とは
どんな労働時間制のことを指しているのか、
社長さんはどのような労働時間制を実現したいのかを伺い、
極力実態と法律の双方を満たせるようなご提案をすることがキモだと思っています。
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専門業務型裁量労働制の概要は?
【専門業務型裁量労働制とは?】
業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を
大幅に従業員の裁量に委ねる必要があるため、
その業務を行う手段や時間配分の決定などについて
会社や上司が具体的な指示をすることが難しい業務がありませんか?
専門業務型裁量労働制は、こうした業務として
厚生労働省令などにより定められた19業務の中から、
対象となる業務や1日当たりの時間数などを労使協定で定め、
従業員を実際にその業務に就かせた場合、
労使協定であらかじめ定めた時間働いたものとみなす制度です。
【専門業務型裁量労働制の対象業務とは?】
専門業務型裁量労働制を採用することができるのは、
以下の19業務です。(以下、「対象業務」といいます。)
各対象業務をクリックすると、
対象業務の範囲についての詳細が表示されます。
10 証券アナリストの業務
13 公認会計士の業務
14 弁護士の業務
16 不動産鑑定士の業務
17 弁理士の業務
18 税理士の業務
19 中小企業診断士の業務
【導入要件は?】
制度の導入にあたっては、
次の1~7の事項を労使協定で定めた上で、
導入する事業場ごとに様式第13号(下記のPDF)により、
所轄労働基準監督署長に届け出ることが必要です。
なお、労使協定は従業員に周知しなければいけません。
1 対象業務(法令で定める19種類の対象業務に限る)
2 みなし時間(対象業務に従事する従業員の労働時間として算定される時間)
3 対象業務を遂行する手段、方法、時間配分等に関し、
対象業務に従事する従業員に具体的な指示をしないこと
4 対象となる従業員の労働時間の状況に応じて実施する
健康・福祉を確保するための措置の具体的内容
5 対象となる従業員からの苦情の処理のため実施する措置の具体的内容
6 有効期間(3年以内とすることが望ましい)
7 4および5に関し従業員ごとに講じた措置の記録を
協定の有効期間中及びその期間の満了後3年間保存すること
8 時間外労働・休日労働・深夜労働
(この事項は協定締結上任意事項ですが、
専門業務型裁量労働制を適用する従業員に対して
就業規則における一般従業員との定めと異なっており就業規則で定めない場合は、
就業規則により協定に委任して協定により定める必要があります。)
【みなし時間】
労使協定には、対象業務の遂行に必要とされる時間を
1日当たりの労働時間として定める必要があり、
1日以外の期間、例えば1か月の労働時間として定めることはできません。
労使協定で定めた時間、すなわち、みなし労働時間は
労働基準法第4章の労働時間に関する規定の適用にかかる
労働時間の算定についてのみ適用されることになります。
また、労働基準法第6章の年少者及び労働基準法第6章の2の女性の規定に関する
規定における労働時間の算定には適用されません。
例えば、労働基準法第66条の規定により、
妊産婦の請求があった場合は、
実際の労働時間が1日8時間及び1週40時間を
超えないように労働させなければなりません。
よって、みなし労働時間制が適用される場合であっても、
休憩、深夜業、休日、年次有給休暇などの規定は排除されません。
【健康・福祉の確保措置の具体的内容】
健康・福祉確保措置の内容については、企画業務型裁量労働制における
措置の内容と同等のものとすることが望ましいとされています。
企画業務型裁量労働制における措置の内容は以下の通りです。
会社は、対象労働者の健康及び福祉を確保するため、
下記の2点について決議する必要があります。
1 対象従業員の勤務状況を把握する方法を具体的に定めること
2 把握した勤務状況に応じ、どういう状況の対象従業員に対し、
いかなる健康・福祉確保措置をどのように講ずるかを明確にすること
勤務状況の把握方法については、
通常の労働時間管理と同様の管理までは求められていませんが、
出退勤時刻のチェック等によって、
従業員がいかなる時間帯にどの程度の時間在社していたのかの
状況を把握する方法で明確に定めることが必要です。
<健康・福祉確保措置の例>
1 把握した対象従業員の勤務状況及びその健康状態に応じて、
代償休日または特別な休暇を付与すること
2 把握した対象従業員の勤務状況及びその健康状態に応じて、
健康診断を実施すること
3 働き過ぎ防止の観点から、年次有給休暇について
まとまった日数連続して取得することを含めてその取得を促進すること
4 心と体の健康問題についての相談窓口を設置すること
5 働きすぎによる健康障害防止の観点から、
必要に応じて、産業医等による助言・指導を受け、
または対象従業員に産業医等による保健指導を受けさせること
6 把握した対象従業員の勤務状況及びその健康状態に配慮し、
必要な場合には適切な部署に配置転換をすること
また、上記と合わせて次の事項についても決議することが望まれます。
1 会社が対象となる従業員の勤務状況を把握する際、併せて健康状況を把握すること
2 会社が把握した対象従業員の勤務状況及びその健康状態に応じて、
対象従業員への企画業務型裁量労働制の適用について必要な見直しを行うこと
3 会社が対象となる従業員の自己啓発のための特別の休暇の付与等
能力開発を促進する措置を講ずること
【従業員からの苦情処理のため実施する措置の具体的内容】
苦情処理措置の内容については、企画業務型裁量労働制における
措置の内容と同等のものとすることが望ましいとされています。
企画業務型裁量労働制における措置の内容は以下の通りです。
申し出の窓口、取り扱う苦情の範囲等、措置の具体的内容を
決議で定めることが求められています。
業績評価制度や目標管理制度、
これに基づく報酬制度などが導入されている場合には、
評価制度や報酬制度に付随する苦情が多く寄せられることが予想されます。
そこで、これらに関する苦情についても、
苦情処理の対象に含めるように措置することが適当であると
行政では指導をしています。
既に企業内に苦情処理システムをお持ちの企業については、
例えば、そのようなシステムで裁量労働制に関する苦情処理を
合わせて行うことを対象従業員に周知するというように、
実態に応じて機能するよう配慮することが求められます。
【記録の保存】
次の事項の記録については、労使協定の有効期間中と
有効期間満了後3年間保存しなければならず、
このことを労使協定に定めておく必要があります。
1 対象従業員の労働時間の状況
2 対象従業員の健康・福祉確保措置の状況
3 対象従業員からの苦情処理措置の状況
【時間外労働】
みなし労働時間が法定労働時間を超える場合には時間外労働になります。
したがって、「三六協定」を締結し、届け出た上で、
法定労働時間を超えた部分の時間に対しては
2割5分増以上の割増賃金を支払わなければなりません。
【休日労働】
みなし労働時間制が適用になる場合でも、
労働基準法第35条の休日の規定は適用されます。
したがって、「三六協定」を締結し、届け出た上で、
法定休日に働いた場合には労働基準法第37条第1項により、
実際の労働時間に応じた3割5分増以上の
割増賃金を支払わなければなりません。
【深夜労働】
午後10時から翌朝午前5時までの深夜に働かせた場合には、
労働基準法第37条第3項が適用されます。
したがって、深夜労働の時間に応じた
2割5分以上の割増賃金を支払わなければなりません。
【休憩時間】
みなし労働時間が6時間を超え8時間までであれば45分以上、
8時間を超える場合には1時間以上の休憩時間を与えなければなりません。
ただし、対象従業員に所定の休憩時間を支持することは
労働時間の配分についての指示となりますので、
可能な限り所定の休憩時間を与え、
取得できなければ別の時間帯に取得させる必要があります。
【その他の労使協定事項】
みなし労働時間制の対象従業員に対しては、
「出退勤時刻の管理」や「裁量労働制適用の中止」の事項も労使協定事項となります。
それは以下の観点から要請されるものです。
1 労働時間の状況に応じた健康・福祉確保措置を講ずる必要がある
2 休日労働・深夜労働について法定基準の定めがある
3 健康・福祉確保措置または苦情処理措置と合わせて
事後措置も設けることが望ましい
【就業規則】
常時10人以上の従業員を使用する事業場において
裁量労働制を適用する場合においては、
就業規則における始業・終業時刻の例外であることなどにより、
就業規則においても、始業・終業時刻、休日労働、
深夜労働、休憩時間などについて定めた上で、
従業員に周知して所轄労働基準監督署長に届け出る必要があります。
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事業場外労働のみなし労働時間制における1日における労働時間の算定
事業場外で業務に従事し、会社や上司の具体的な指揮監督が及ばず、
労働時間の算定が困難な場合は、
事業場外労働のみなし労働時間制を活用して、
その事業場外労働の時間を「みなす」ことになりますが、
この場合の1日における労働時間の算定の方法は、以下の通りになります。
所定労働時間とは就業規則等で定められた
始業時刻から終業時刻までの時間から休憩時間を除いた時間のことで、
労働義務のある時間です。
例えば、次の図のとおり、所定労働時間が7時間30分、
休憩時間が1時間(午前12時から午後1時までの間)で
始業時刻が午前9時、終業時刻が午後5時30分の場合に、
事業場外労働のみなし労働時間制による労働時間の算定方法と
1日の労働時間の算定は次の通りになります。
(青い線:事業場内労働)
<1 労働時間の全部について事業場外で労働した場合>
ア 労働時間の全部について事業場外での業務を行う
いわゆる直行・直帰型の事業場外労働の場合
ケース1(赤い線:事業場外労働)
この場合、労働時間の算定が困難な事業が外の業務の遂行に
通常必要とされる時間(通常必要時間)が所定労働時間以内であれば、
所定労働時間労働したものとみなして、
1日の労働時間は7時間30分と算定して労働基準法を適用することになります。
ただし、上のケース1のように、
事業場外労働が常態として
所定労働時間(7時間30分)を超えて8時間行われる等、
所定労働時間を超えることが通常必要となる時は、
通常必要時間を労働したもの(この場合は8時間)とみなすことになります。
なお、通常必要時間とは、「通常の状態でその業務を遂行するために
客観的に必要とされる時間」のことで、
対象従業員の事業場外労働の実態等により必要時間は異なることから、
事業場外労働の実際に必要とされる時間を平均した時間となります。
<2 労働時間の一部について事業場外で労働した場合>
ア 事業場内労働(内勤)を行った後、
事業場外労働(外勤)を行ってそのまま直帰する場合
ケース2(青い線:事業場内労働 赤い線:事業場外労働)
外勤の通常必要時間(例えば3時間の場合)が
内勤の時間(上のケース2の場合は9時から14時までの4時間)を合計すると7時間となり、
所定労働時間数(7時間30分)以内であるので、
外勤については内勤の時間を含めて所定労働時間働いたとみなし、
1日の労働時間は7時間30分となります。
ただし、内勤の時間が5時間である場合には、
外勤の通常必要時間の3時間を加えると所定労働時間数を超えるので、
この外勤は3時間働いたものとみなして、1日の労働時間は8時間となります。
イ 直行型の外勤を行い、その後内勤を行う場合
ケース3(青い線:事業場内労働 赤い線:事業場外労働)
この場合は、外勤の通常必要時間(例えば3時間の場合)が
内勤の時間(上のケース3の場合は14時30分から18時30分までの4時間)を
合計して所定労働時間以内であるので、
外勤については内勤の時間を含めて所定労働時間労働したものとみなし、
1日の労働時間は7時間30分となります。
ただし、内勤の時間が6時間である場合には、
外勤の通常必要時間の3時間を加えると所定労働時間数を超えるので、
この外勤は3時間働いたものとみなして、1日の労働時間数は9時間となります。
ウ 外勤と内勤が混在する場合
ケース4(青い線:事業場内労働 赤い線:事業場外労働)
この場合も、AとBの外勤の通常必要時間(例えば4時間の場合)が
内勤の時間(上野ケース4の場合は3時間30分)を合計して所定労働時間以内であるので、
外勤については内勤の時間を含めて所定労働時間働いたものとみなし、
1日の労働時間は7時間30分となります。
ただし、内勤の時間が5時間30分である場合には、
外勤の必要時間の4時間を加えると所定労働時間を超えるので、
この外勤は4時間働いたものとみなして、1日の労働時間は9時間30分となります。
この他、事業場外労働のみなし労働時間制の概要を知りたい方はこちらをクリックしてください。
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