◇違約金・損害金(2)
違約金は、どのような性質のものかというと、
一般的に損害賠償の額をあらかじめ定めておいた(損害賠償の予定)
であると推定しています(民法420条3項)。
ここで、違約金が損害賠償の予定以外のことを意味する場合もあるのか、
という疑問が生じます。
すなわち、損害賠償のほかに、
純然たる制裁のために支払うべき金額を意味することがあるのか、
ということです。
純然たる制裁を意味する場合は、
そのほかに実際に蒙った損害の賠償も求めることができる、
ということになります。
しかし、刑事事件の罰金とか、
行政規則違反に対するする過料のような制裁金を
債務者に課するという私人間の取り決めが可能かというと、
疑問といわざるを得ません。
契約上の債務不履行に対して、
損害賠償の予定のほか、制裁金を課するというようなことは、
近代化した今日の社会にとってなじみにくい考え方です。
違約金は損害賠償の予定と割り切っていいでしょう。