◇期限・期限の利益(3)
契約書では、
正面から債務者に「期限の利益」を与える、
という表現はしません。
「期限の利益を失う」という条項として利用されています。
期限の利益を失わせる条項は、
債務者が分割債務を負担いる場合、
一定期間ごとに金利を支払う義務を負担している場合、
継続的取引契約で複数の債務を負担している場合などに
必ず置かれる条項です。
債務者が期限の利益を失う場合は、
民法上では、
破産手続開始の決定、担保の滅失・損傷・減少、
担保提供義務の不履行の3つのケースが規定されています。
しかし、これでは、契約書の上では不十分ですので、
金利の支払いの不履行とか手形の不渡りの発生など、
各種の事由を期限の利益を喪失する場合として列挙しています。
期限の利益喪失条項が、
債権者の意思表示なしに、
一定の事実の発生により当然に期限の利益を喪失するという場合には
失権約款という名称で呼ばれています。