中小企業で、社長を被保険者とする生命保険については、「契約者を法人」として、社長に万が一のことがあったときに「法人が受取人」になって会社にお金を残すことができる。 と多くの社長さんがお考えですね。
実は「法人が受取人」。これは間違ってはいないのですが正しくもないのです。この理解の下、せっかくの保険金が亡くなられた社長の思いからはずれ、「別の用途」に使われたり、家族をトラブルに巻き込んだりしてしまうことがあります。
社長を被保険者とする生命保険では「受取人=法人」ではなく、「受取人は次の代表取締役」なんですね。保険請求の流れとしては、社長が亡くなられたあと、新しい代表取締役を選任し、登記をし、その代表取締役の名前で請求をし、保険金を受取ります。
会社に保険金が入るということでは目的を達しているかもしれませんが、大事なのはその後の資金使途です。
亡くなられた社長の思いとしては、保険金の使い道を、個人保証を外すための借入れの返済であったり、遺族への死亡退職金の原資であったり、従業員の退職金であったりと保険金の使い道に色をつけていたはずです。
それが、全て運転資金に回されてしまったり、後継者の思惑で別の色をつけられることがあります。仮に、ご子息やご親族が後継者となる会社であれば、先代が保険金の意図を生前に伝えなくても上手く回るかもしれません。
しかし現在、中小企業の社長の平均年齢は約60歳、事業承継においては親族以外の方が引き継いでいる企業は約4割に及びます。
経営者保険については、必要保障額、期間、目的、保険料、経理処理、解約時の返戻金や返戻率など様々な角度で検討した上でご加入されていることと思いますが、できれば社長さんには、保険金の意図をも後継者に託す工夫、保険担当者は社内規定の見直しを含めて、その思いを後継者につなぐ仕事をすることが望ましいのではないでしょうか。
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